予期しない状態が発生しました【Bs63/21】 (ページ19)

今日:20 hit、昨日:34 hit、合計:16,187 hit

あの頃にページ19

Aside

彼の家に同棲しはじめてから数週間が経過した。最初こそ緊張がすごかったものの、優しい彼の献身的なサポートのおかげでこの生活にも慣れてきた。

彼のいる毎日が楽しい。恋人として、幸せだった。

土曜日の昼、通常大学は休みで特に予定もなく家にいるのだが、彼は急用で出勤してしまった。

珍しく彼のいない休日をどう過ごそうかと無造作にスマホを触る。するとスマホの充電が残り数パーしかないことに気づいた。

(充電器とってこよ)

自分の荷物が置いてある部屋にいった。ここであることが気になった。

それは彼が「絶対に開けないでほしい」と言った部屋だった。何やら物が散乱しているようで恥ずかしくて到底見せられないとのこと。

おとなしく約束は守る主義なので、開けないようにしていた。

でも、彼のそういう秘密を知りたくなった。部屋も綺麗で彼自身もかっこよくて、そんな完璧人間な彼のちょっと抜けてるところが見てみたい。

そして、少しだけならいいだろうと約束を破ってしまった。

『え＿＿＿＿＿＿＿』

開けると血生臭い、鼻の奥をつんざくような悪臭に刺激された。

そこには処理途中の切断された肉片がごろごろしていた。

(なに、、、これ、、、)

私は腰が抜けてその場に座り込んで思わず息をのんだ。
困惑で頭が搔き回されて、涙がぽろぽろでてきた。

血濡れた、目の前に広がる光景をただ見ていることしかできない、その間にも臭いは一層強まった。

『＿＿＿彼が、、、そんなっ、、』

これは夢だと信じたい。はやく覚めたい。

私はあまりの緊張で意識が落ちてしまった。