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でも、現実的に沢山やりすぎるのはまずい。こういうのは順序良く、計画的にやるべきだと思う。
実際のところ既に警察が今回の事件に嗅ぎつけている。だけど、俺はなぜか絶対にバレないという自信があった。
Aとの幸せはもうすぐ達成されるのだから、邪魔など許さない。
ひとりずつ、完全に排除しなければ。
18「ふは、颯一郎顔真っ赤笑」
俺は山本に指摘され、鮮やかに赤くなった顔をこすった。
狭いワンルームで俺たちは音もなく作業を行った。深夜２時頃、窓から街頭の明かりがチカチカしているのが見えた。それは今にでも消えかかりそうだった。
俺はしばらくそれに目を奪われた。だが、寿命が尽きたのか暗闇を一生懸命照らしていた電球が消えてしまった。それと同時に後ろから鈍い、縄の締め付ける音が聞こえてきた。
山本が作業を終えたようなので、二人係でそれを袋へ詰めた。
幸福まであと一歩。見えない恐怖に怯えるAのことを思い出すととても身が滾った。
18side
颯一郎に嵌められた。あの日、知らなくてよかったことを知ってしまった。
後から言われたのは、俺もこの計画の軌道上にいるということ。昔からの勘の良さをこんなことに利用されることになるなんて、誰が予期できたことか。
俺はもう後戻りできないと思う。そんなことを考えながら、暗い部屋でもぞもぞと蠢くターゲットを締め上げるとぎちぎちとロープが音を立てた。
何人かやったとこで、俺はこの行為に快楽を覚えるようになってしまった。
会社に行くまでの通勤電車で、あちこちから噂話が聞こえてくる。それは、自分たちが犯したことについてだった。
最初は毎日怯えながら生活していたものの、嫌に慣れてしまったようだった。
颯一郎は黒いズボンのポケットに手を突っ込んで、何やら外が気になるらしい。音に気付いたのか、ゆっくりとこちらを振り返った。
赤く飛び散ったそれが顔を汚していた。月明かりが俺と颯一郎を照らした。俺には眩しい光が颯一郎には一切輝いて見えないだろう。
太陽のような男が、月光が似合う男になった。
それでも、まるで悪なんて知らない無垢な少年のような笑顔だった。
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作者名：塩分過多 | 作成日時：2023年12月27日 23時
