俺 の モ ノ 。【不死川実弥】

俺の 。22 ページ23

「す 、すみません...っ！」



我に返りさっと手を離す 。



何してるんだ 、私は 。
どうして...



不死川さんを
不死川さんの温もりを 、




＿＿お兄ちゃんと重ねてしまったの？




「！おい 、A」



目元を拭われて初めて涙を流していた事に気が付いた 。言葉を発そうとすれば腰を抱かれ 、倒れ込む様な形で胡座をかいた足の上に乗せられる 。



「...んっ......」



そっと頬を包み込む様に唇を奪われる 。それは段々深く激しくなっていき 、身体の力が抜けたところで押し倒され 、脚が絡まる 。



「A 、」



掠れた甘い声 。切なげな表情 。
私に覆い被さる不死川さんはやっぱり息ひとつ乱していない 。大きな手にするりと頬を撫でられ 、んにゃ 、と声が漏れた 。



「俺は何処にも行かねェ」

「...ッ」

「ずっとお前の側にいる」



酸欠で頭がふわふわする 。何も考えられない 。



「わたし 、は...」



分からない 。不死川さんの言葉の意味も 。
どうしてそんなに苦しそうな表情(かお)をしているのかも 。


全部全部分からないまま 、ゆっくりと夢の中へ堕ちて行った 。



.

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