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当て馬基質 53 ページ8

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店に入って数十分。広い店の中から目的なものを見つけ出し、それと少しのお菓子を買って私達は店から出た。

荷物が多い為、両手はビニール袋で埋まっている。そのせいで店の中で離れることの無かった坂田の手は寂しくも離れてしまった。




( ーーまぁ、寂しいなんて思ってるのは私だけだろうけど。)




坂田の数歩後を歩きながら自虐的な笑みを浮かべる。坂田は自分の持っている荷物でいっぱいいっぱいなのか そんな笑みを浮かべている私には気づかずに、くそ〜めっちゃ重い〜なんてブツブツ言いながら歩いている。


私の両手を埋めている袋は、布やお菓子などしか入ってないせいで量の割にそこまでの重さではないが、坂田の袋にはペンキが結構な量入っているせいでだいぶ重量があるのだろう。




「 坂田、大丈夫?手伝おうか? 」


「 うぇ?何言うてるん、Aだってめっちゃ持ってるやん 」






そもそも、俺がAと一緒に買い出しに行けって言われたの Aの荷物持ってあげるためなのに ごめんね、なんて 優しく笑う目の前のそいつ。

ーーあぁ、本当に。私はこいつの、こういう所に とてつもなく弱いのだ。

じっとその笑顔を見つめていると、いつもならきょとんと目を大きくさせて なにー?と首を傾げるであろうそいつは、何故か少しだけ寂しそうな目で私を見つめ返してきて。






誰もいない学校への帰り道の近道である、路地裏。互いの息遣いが聞こえるようなぐらいに静かなそこで、ただ二人目を逸らせずに。
少しずつ近付いている距離に なんとなくドキドキしながら、そっと目を瞑ろうかと思った時。









「 Aちゃん! 」


「 セ、センラっ!? 」






ばっと坂田から距離を取り、声がした方に目をやると 学校から走ってきたのか少し息の荒いセンラがそこにはいた。

ちらりと坂田を見ると、むぅ、と拗ねたような顔でセンラを見ているような気がして、その表情は一体どんな感情から来ているのか、と ついまた坂田の事で頭を悩ませてしまいそうになる。






「 どしたのセンラ 」


「 いや…坂田とAちゃんが買い出しに行ったって聞いて… 」


「 別にセンラに心配されんでも仲良うしてたで?なー、A 」


「 ん?いやまぁ 」


「 アホか坂田、そういうんちゃうわ 」





センラは坂田に笑ってそういえば、すっと私の持っている荷物を取って、荷物 持ってもらうために男連れてったのに意味無いやん、なんて笑って。

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零生(プロフ) - ルテメナさん» ありがとうございます〜!私も自分で作り出したオリジナルキャラでみやのんはトップレベルで好きなので嬉しいです! (2019年4月5日 22時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
ルテメナ - 少し遅れましたが、完結おめでとうございます。お疲れ様でした!もうちょっと早くこの作品を知りたかったですw なんというか、みやのん大好き。(え) (2019年4月5日 22時) (レス) id: 725488054e (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - キャンディットさん» キャンディットさん! いつもコメントありがとうございました!! 更新の力にさせてもらっておりました。私も大好きです! 本当にありがとうございます!! (2018年12月28日 20時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
キャンディット(プロフ) - すごく、すごく良かったです!!もう高評価1つじゃ足りない…。完結おめでとうございます!!零生さん好きです!!(?) (2018年12月28日 18時) (レス) id: 8583ad440a (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - もかさん» 長い間のお付き合いありがとうございました!私も書いていて、幸せになってよかった〜と思っております笑 他の作品も頑張りますので、良かったら覗いてやってください! (2018年12月27日 16時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:零生 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年2月9日 7時

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