当て馬気質 76 ページ31
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ありがとう、と坂田が言った時、聞きに来てくれている人達が優しかったおかげか、ぱちぱちと優しい拍手に包まれたけれど。
それこそ 私なんてどうでもいい奴の紹介をこんな大勢の前でして、滑ったらどうするつもりだったのだ。
うらちゃんと 坂田の言い合いも、ウケて笑ってもらえてるけれど、よっぽど話し合って決めた話の方が盛り上がったはずなのに。
きっと私がいない間に4人で話し合って、紹介しようと決めたのだろう。時間配分も何もかも、決めるのが苦手な彼等が、ーーこんな、私のために。
何やってんだ、なんて呆れなきゃいけないはずなのに。時間配分も失敗してるし、もう歌ってなきゃ時間内に収まらないし、時間押してごめんなさいって謝りに回るのは私なのにってイライラしてもおかしくないはずなのに。
申し訳ない事に、彼らの後半の演奏がちゃんと聞けないほどに私は 彼らのマネージャー紹介で泣きじゃくってしまって。
いつの間にか近くにいたみやのんに手を引かれて、せっかく良い席で見ていたのにも関わらず後半は体育館の入口近くで涙を拭うだけの時間となってしまった。
「 よかったね、A 」
「 全く良くない!そもそも、こんなの知らないし 」
「 うん 」
「 これ終わったら、花火になるから、私 悩んでたはずなのに、そんなの全然頭から無くなっちゃうぐらい、なんかいっぱいいっぱいだし 」
「 うん 」
「 …演奏、かっこいい? 」
「 かっこいいよ、坂田も 前半よりもすごい楽しそうに歌ってる 」
「 センラ、は? 」
「 …まぁ、あいつも。いつもよりは若干、かっこいいんじゃないかな 」
みやのんに抱き締められながら、遠くの方で聞こえる 彼らの演奏と歌声を聴きながら 私の文化祭の一大イベントであったであろう軽音部の演奏は、マネージャーとしての仕事は何ひとつとして出来ないまま終わった。
後片付けに行かなきゃと 止まらない涙を拭っていると、いつの間にかみやのんが センラに連絡を入れていて。
「 A、センラに Aが泣きじゃくって後片付け行ける状態じゃないって行ったら、俺らで出来るからゆっくり休んでてええよ、だってさ 」
「 えっ、いや…でもさすがに…、申し訳ない… 」
「 センラがいいって言ってんならいいの、それより 」
これからもっと大きなイベントがあるのに、そんなボロボロな状態のままでいいわけ?そう笑ったみやのんは、私の手を引いて体育館をあとにするのだった。
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零生(プロフ) - ルテメナさん» ありがとうございます〜!私も自分で作り出したオリジナルキャラでみやのんはトップレベルで好きなので嬉しいです! (2019年4月5日 22時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
ルテメナ - 少し遅れましたが、完結おめでとうございます。お疲れ様でした!もうちょっと早くこの作品を知りたかったですw なんというか、みやのん大好き。(え) (2019年4月5日 22時) (レス) id: 725488054e (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - キャンディットさん» キャンディットさん! いつもコメントありがとうございました!! 更新の力にさせてもらっておりました。私も大好きです! 本当にありがとうございます!! (2018年12月28日 20時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
キャンディット(プロフ) - すごく、すごく良かったです!!もう高評価1つじゃ足りない…。完結おめでとうございます!!零生さん好きです!!(?) (2018年12月28日 18時) (レス) id: 8583ad440a (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - もかさん» 長い間のお付き合いありがとうございました!私も書いていて、幸せになってよかった〜と思っております笑 他の作品も頑張りますので、良かったら覗いてやってください! (2018年12月27日 16時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
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