当て馬基質 58 ページ13
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文化祭近くの夜。部活に明け暮れて疲れた身体を休める為に着替えてすぐにベッドに飛び込む。
ご飯を食べるのもお風呂に入るのも面倒くさい。このまま眠ってしまおうかと思った時だった。
ーーいつもの癖で鍵を開けていた 窓がカラリと開く音がする。重たい瞼を開けて そちらを見ると、久しぶりに入ってきた私の幼馴染み。
「 …坂田? 」
「 …久しぶり 」
「 確かに、久しぶり…だね 」
1週間に1回は来ていた坂田は、遊園地の日以来一度も来なくなって。その日以来…だから、2ヶ月程度だろうか。
そこまで久しぶり、でもないのかも知れないし なんなら学校で毎日合っているのだから 久しぶりなんて言葉はおかしいのかもしれないが、それでも この“いつも通り”は久しいのだ。
嬉しさからか、眠気はどっかへと飛んでいて 私はムクリと起き上がる。坂田は居心地の悪そうにキョロキョロと部屋を見渡してから、ベッドから少し離れた所に腰を下ろした。
前までなら隣に、なんて思ったが 来てくれた事だけでも嬉しいことだ。あんな事までして、気まずい関係だったはずなのに。
坂田は 少しずつ、私といつも通りに戻ろうと歩み寄ってきてくれている。
( ーー欲なんて捨てて、やっぱり前の関係を… )
そんな事を考えていると、坂田が あのさ!と場にそぐわない様な大きな声を発して。
私は少しびくりと肩を揺らして、どうしたの?と思考を止めてそちらに目をやる。
「 …文化祭、あるやん 」
「 そうだねー、そろそろだ 」
「 た、楽しみだよね! 」
「 う、うんそうね? 」
確かに楽しみではあるが、わざわざそんな話をしにここに来たのか?もしかして 楽しみな気持ちが抑えきれなくなって誰かに言いたかったから近くにいる私の所に来たとか?
え、何それだとしたら私のさっきまでの謎のドキドキ返して。
一気に気の抜けた私は、はぁーと深く溜息を吐きながら ベッドに横になる。柔らかいマットが私を受け止めてくれ、なくなったと思った眠気がまた蘇ってきて。
無言の中、うつらうつらしてきた私は そういや文化祭と言えば花火はセンラと見るんだっけか、と思い出す。
「 ねー坂田 花火は… 」
「 は、花火!? 」
「 今年は、どの女の子と見たいのー…? 」
「 …え… 」
少しロマンチストな坂田は、やっぱり好きな子と見たいのだろうけど。今はまだ、はるちゃんへの気持ちが残っている、とかなのだろうか。
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零生(プロフ) - ルテメナさん» ありがとうございます〜!私も自分で作り出したオリジナルキャラでみやのんはトップレベルで好きなので嬉しいです! (2019年4月5日 22時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
ルテメナ - 少し遅れましたが、完結おめでとうございます。お疲れ様でした!もうちょっと早くこの作品を知りたかったですw なんというか、みやのん大好き。(え) (2019年4月5日 22時) (レス) id: 725488054e (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - キャンディットさん» キャンディットさん! いつもコメントありがとうございました!! 更新の力にさせてもらっておりました。私も大好きです! 本当にありがとうございます!! (2018年12月28日 20時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
キャンディット(プロフ) - すごく、すごく良かったです!!もう高評価1つじゃ足りない…。完結おめでとうございます!!零生さん好きです!!(?) (2018年12月28日 18時) (レス) id: 8583ad440a (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - もかさん» 長い間のお付き合いありがとうございました!私も書いていて、幸せになってよかった〜と思っております笑 他の作品も頑張りますので、良かったら覗いてやってください! (2018年12月27日 16時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
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