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彼の明るさもあってか、2人きりで会っても
特に気まずさは無く楽しめた。
スベってることがほとんどだけど
長瀬自身は見てて面白くて。
それもあって次第に仲良くなった。
決まって誘われるのは相変わらずクマ関連で
それを見る度やっぱり心が惹かれるけど
少しだけ胸が痛い。
『Aちゃん今度……っおわ？！』
「っ…」
ある日、放課後会っていた時
聞こえてきた声にハッとして彼の腕を引いた。
ちょうど死角になりそうなところまで移動すると
不思議そうな顔でこっちを見る長瀬。
『なに、いきなり積極的じゃ…』
「黙って」
『あ、はい』
キッと視線を鋭くして彼を制すと
萎縮してすんなり従う。
意外とそういうのは聞いてくれるんだとほっとしつつ
視線を元あった所に戻した。
『いや、マジでそれはお前のミスだから(笑)』
『違うって！あれは担任が…』
声を聞いただけでドキドキうるさい心臓。
気付かれることなく通り過ぎてくれて
肩の力がすっと抜ける。
『………………Aちゃん』
「え、あ………ごめん、もう大丈夫」
『いや、そうじゃなくて』
今、自分ってどんな顔してるんだろう。
長瀬がこっちを見るけど
いつもと違う表情だから戸惑った。
とりあえず動こうと足を前に出すと
パッとその手を掴まれる。
『今の人のこと…………好きでしょ』
「っ…」
『見たことない顔してた』
「へ、」
『……………しかも、めっちゃ可愛い顔』
「そういうの、要らな…」
『やっぱ好きなんだ』
ふっ、と小さく笑う彼は
いつもと違って苦味が混ざっていた。
何も言えなくなって黙ってると
長瀬はあの人の方に視線を投げる。
「…………クマ、なの」
『え？』
「私、クマが好きなんじゃなくて
あの人がクマに似てるから、クマが好きなの」
『…………………なるほど、ね』
長瀬にいざ言うとなると
少しきゅっ、と詰まるのはなんでだろう。
また苦い顔をした彼を見ていられない。
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作者名：むう
| 作成日時：2022年2月1日 22時
