Probably not (ページ21)

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『…………欲しいの？』

「可愛いなって」

『確かに。………買おうか？』

「え、いや、いいよ！買うなら自分で買う！」

連れていきたいって言われたお店までの間に

雑貨屋さんがあった。

そこに並べられていたものに目を留めると

一瞬だったのに結星に気づかれる。

あっさり店の中に入る彼を追いかけて

いいから、と断るけど構わずに手に取られて。

『お礼って言ったじゃん』

「でもそれは今から行くお店でしょ？」

『じゃあオマケってことで』

「悪いよ。看病しただけなのに」

『いやー、俺にはめっちゃ特別よ？

それにこれ可愛いじゃん、珍しくて』

メガネをかけたペンギンのキーホルダー。

値段が張らないとはいえ

何も無いのに買ってもらうのは申し訳ない。

それを見つめながら笑っている彼に

私はひとつ案を思いつく。

ねぇ、と彼の肩に掛かるカバンの持ち手を軽く引っぱった。

「じゃあ、……結星も」

『え？？』

「結星も色違い買うなら…貰う」

『…っ、え、待ってそれお揃いになるけど』

「うん、」

『………いいの、？』

「結星も気に入ってそうだから」

『………………………買います、』

珍しく狼狽えた彼が

顔を真っ赤にして色々言うけど

いいよ、で突き通す。

もうひとつを手に取ってレジに持っていく彼は

ぷしゅー…っと蒸発した後のように

少し表情が腑抜けていた。

『あー！Aと居ると時間過ぎるの早いね』

「たしかに。もう日が落ちちゃいそう」

『もうちょい寄り道する？…なーんてね(笑)』

あの後可愛いカフェに連れて行ってもらって

また全部奢ってもらった。

駅に帰る道を歩いていると

名残惜しくてつい足取りが重くなる。

寄り道しよって冗談ぽく彼は言うけど

それ、ほんとにして欲しいなぁ…なんて。

「うん、…いいよ」

『え？』

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