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ハズレ。
目の前で愛想笑いを浮かべる5人を見て心の中でそう呟いた。
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たまには気晴らしだよ、と友達に手を引かれ連れられたのは、
はっきりと明言されては無いけど合コンだろう。
初対面の男女5人ずつが向かい合わせに座って、
今回の奢りは男の人たち側。
もうこんなの、場が整ってる。
「ほら、Aもなんか言いなよ」
「んーん、みんなお目当ての人いるなら自由にしなよ」
気分が乗ることは無かった。
1番端の席でただ目の前の飲み物や食べ物に口をつける。
たまに話しかけられたら何となく応じて、
時間が過ぎるのを待っていようと思っていた。
『……………ね、』
「…はい、」
『これ、よかったら食べて』
「っ、え？！クマ？！」
ふと横に友達じゃない気配を感じた。
聞こえてきた少し男の人にしては高めの声に、
とりあえず返事をすれば、
今日のメンバーの中でも一際冴えないというか、
弄られ役を買って出てるような人が座っている。
すっと差し出されたものに視線を落とすと
お皿の上に乗せられたのはクレームブリュレ。
上にはちょこん、とクマのチョコかなにかが乗っていた。
その可愛さに思わず食いついてしまう。
『そう(笑)どう？これ、いる？』
「っうん、クマ好きなの。
それで色んなクマのグッズとか
こういうスイーツとか見てて…っ」
カメラを構えながらそんなふうに話していたら、
ぷっと吹き出す声が聞こえて口を噤む。
……どうしよ、話しすぎた。
今の感じ、引かれるかも。
一瞬にして血の気が引いていく。
取り繕おうと言葉を選んでいると、
彼は引くどころか大きな声で笑った。
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作者名：むう
| 作成日時：2022年2月1日 22時
