いけないよ ページ7
朝、玄関を出るとあの犬がいた。
犬「アンッ」
俺はため息をしながら犬に声をかける
降「一晩中ここにいたのか。残念だけど君を飼うことはできない。そもそもここはペット禁止…」
犬を撫ぜながら飼えない理由を説明していると隣人が犬を連れて散歩に出て行った。
降「……じゃあなかったみたい」
犬も嬉しそうに鳴く。こんな時Aが家に入ってくれていたら話は別だったのだが。
貴「わぁぁ、可愛いワンちゃん!!零、私飼いたい」
降(なんて上目づかいで言ってくるんだろうなぁ……!!!)
ニヤついていることに気が付いて慌ててポーカーフェイスに戻る。改めて、子犬をみると足を怪我していた。
降「怪我しているじゃないか!化膿はしていない……。でも、洗ってワセリンを」
桶に水を溜めて、ワセリンを塗る。
降「これでよし!」
ワセリンと桶を片づけて車に乗り改めて犬に声をかける。
降「じゃあ僕は行くから、もうここに来てはいけないよ…いいね?」
犬に告げ、愛車を走らせる。
車を降りて風見に連絡を取る。
降「あぁ、そうだ。よろしく頼んだぞ。風見!!」
ドンッ!!
電話を切るのと同時に鈍い音がしたため振り向くと
電柱にあの犬がぶつかっていた。その後も僕の前に現れては階段から落ちたり野良猫とけんかをしたりしている。
降「こんな怪我ばかりして…、どうしてそこまでして僕の前に現れる…」
クーンとへこんで傷ついている犬の処置をしながら尋ねる。
降「もう追うのはやめるんだ!傷だらけの君を見ていられない…。手当てはこれで最後…。じゃあね」
雨の中、道路を渡る。後ろで犬が鳴いているが振り向かず歩き続ける。
ププーッ
振り返ると犬が車に轢かれそうで急いで犬の方に向かった。抱きかかえ、茂みに飛び込み。
キキィィィィィィ
間一髪で救うことができた。運転手は車を止めて、俺に声をかける。大丈夫だと笑いながら運転手に言えば、困惑しながらも車を走らせる彼。
その車が行ったのを確認して、犬を睨む。
降「追いかけてくるなと言っただろ!大怪我するところだったぞ!!何度も手当てする僕の身にもなってみろ!!僕がどんな気持ちで……!!」
そんな時エレーナ先生との思い出が脳裏に浮かんだ。
降「君も…わざと…わかったよ。僕の負けだ。どうした?おいで…」
遠慮がちになかなか近づかない犬を抱える。
降「一緒に帰ろう」
俺は犬を連れて家に帰った。
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作者名:じんべいざめ | 作成日時:2019年5月8日 7時