すきだ３ (ページ21)

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貴方 side

ﾌﾟｯﾌﾟｰ

クラクションを鳴らされ、後ろを振り向くと

真｢Aー！｣

『真ちゃん。』

昨日のことは嘘なんじゃないかと錯覚してしまう程眩しい笑顔

『どうしたの』

言い方が冷たかったかな

一瞬悲しそうな顔をしたのは気のせいだと思うことにする。

真｢一緒にご飯食べに行こうと思って｣

『そうなんだ。』

真｢隣乗って｣

私は何も言わずに助手席に乗った

どこのお店に行くのかな

でもあまり話したくないから聞かないでいると

真｢たまにはフレンチ行こうと思ってさ｣

『そうなんだ』

.

｢いらっしゃいませ。お二人様ですか？｣

真｢そうです。｣

私はこういう雰囲気のお店に来る事が滅多にないから少し緊張する

座る時にさりげなく椅子を引いてくれる真ちゃん。

『…ありがと』

真｢おん｣

赤ワインが注がれ乾杯をする

｢『乾杯』｣

少しの沈黙のあと真ちゃんが口を開いた

真｢最近仕事はどう？｣

いつも通りの真ちゃんに少し拍子抜けしたけど

『順調だよ。最近、２組のお客さんに指名されてね忙しかったよ。ありがたい事にね。』

真｢そうなんや。楽しい？｣

そんな事、真ちゃんだって分かってるはずなのにどうして聞くんだろうと疑問に思いながら

『すっごく楽しいよ』

真｢そっか。｣

そこから普段と変わらない他愛もない話をした

だけど、やっぱり時々悲しそうな顔をしていた気がする。

ご飯が食べ終わり、家に帰るのかと思うと

真｢寄りたいとこあるねんけどいい？｣

｢うん｣

.

ｻﾞｻﾞｧｰｰ…

『行きたいとこって海だったの？』

真｢うん。ここはAとの大切な場所やから。」

『…そうだね』

私たちはここから始まった。

初めてのデートが海で

眺めるだけだったけど二人でたくさん話して、お互いの事を沢山知れた。

付き合って、と告白されたのも海だった。

少し海辺を歩きながらそんな事を思い出す。

『時間が経つのって早いね』

真｢そうやな。｣