*《6》 ページ15
【実験者:ルチアーノ】
今日はAが髪を結んでいる。
あの長い髪を一つに束ねて、ポニーテールを揺らしているんだ。
本来なら、今日はいつもと違うのか、その姿は初めて見たな、などと心の中で感想を呟くだけなのだが(←直接言いに行く勇気が無い)……今の私には、もう一つ別の感情があった。
(掴みたい……)
どういう事だろう。
ああいう風に揺れているものを見ると……捕まえたい、両手で掴みたい、なんていう衝動に駆られるんだ。
感情……というよりは、本能的な何か。
揺れ動くものについつい目がいってしまう。
かと言って、Aを背後からそんな驚かす様な事をこれ以上してしまえば私は確実に嫌われてしまうだろう。
……
……
…………。
……両手が疼く。やはりあれを掴みたい。
「……」
「……♪」
Aが丁字路の前で立ち止まり、左右の安全を確認しだした。
それに合わせて、結われた髪が左右に揺れる。
立ち止まっている今なら、行けるだろうか……。
電柱の影から、背後に飛び移った。
……どういう事だ?通常より俊敏に動ける。
「……!」
「きゃー!?誰!?
……って、」
……やってしまった。
突然長い髪を掴まれた彼女は振り向きざまに私の存在に気付き、案の定驚いてしまっている。
私は一体何をしているんだ……。
「A、……その、すまない、私は」
「……ルチアーノ、なの?」
「は……っ?」
な、何だ、今のは?
Aの手が膝をついた私の頭に……いや、頭部についているらしい何かに手を伸ばし、撫で始めた。
頭は触られていないようだが、そこには何故か私が触れられているのだと分かる……?
自分の太腿に何かが巻きついてくるのを感じた。
「なっ……!?何だ、これは……?」
「ルチアーノ……猫になっちゃってるよ……」
「ね、猫……???」
メモ:後で手鏡を見せてもらった。成程そういう事だったのか……。猫の耳と尻尾が生えていたらしい。それで揺れるものに対して過敏に反応してしまっていたのか。
髪を掴んだ事は許してもらえた上に、Aの方から触ってもらえたのは良かったが……待て、私はあの状態で外へ出歩いていたのか……?なんということだ。
……ん、Aのストーカー?何の話だ?←
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るすたー★(プロフ) - 初めまして!コンパスの夢小説を探していてレウィシアさんの作品を見て、ファンになりました!ほんとにもう尊すぎます…素晴らしい作品をありがとうございます…!もし良ければギルド入りたいので承認していただきたいです!名前はこのサイトと同じでやってます! (2020年1月25日 19時) (レス) id: c98a3fef56 (このIDを非表示/違反報告)
愛里(プロフ) - レウィシアさん» アングレサイドちゃんにケモミミが生えてるとこが拝みたい! (2018年10月1日 1時) (レス) id: 95c5af7e07 (このIDを非表示/違反報告)
新月 - 初めまして!最高の作品をありがとうございます♪できればレウィシアさんのギルドに入りたいです!宜しければ承認してください! (2018年7月21日 20時) (レス) id: 22a7057943 (このIDを非表示/違反報告)
かよ - はじめまして!dreamに入りたいんですけど……大丈夫ですかね……? (2018年6月2日 1時) (レス) id: b3fa3ab3cb (このIDを非表示/違反報告)
蘭 - さーちん好き… (2018年1月24日 5時) (レス) id: 408fbb70de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レウィシア | 作成日時:2017年12月8日 16時