【#コンパス】もー、そんなに見ないでよね！【実験集】

＊《３》 ページ12

【実験者：ジャスティス ハンコック】

いや、まてまてまてまて。
何故俺が猫耳と尻尾を生やさなきゃならないんだ。
こんなのは俺よりもAの方が合ってるだろ絶対。

……ん、この音は……Aが飛んできているのか？
何かが風を纏って近付いてくる音に、猫耳がぴくりと動いて反応した。
猫になったからか、聴覚が敏感になっているらしい。
これは面白いな……。

「……！？ジャスティスそれどうしたの……？」

「あー、いや……」

驚きながらもそのままの飛行速度で飛びついてきたAを受け止める。
うん……やはり小動物系はAの方が合っていると思う。

「なんでこうなっちゃったんだろ……」

「俺にもよく分からん……」

頭に手を伸ばし、耳を撫でてくるA。
するとまたぴくぴくと反応し、後ろで尻尾がぴんと上を向くのが分かる。
この尻尾……自分の意思で動かせたり、するんだろうか……？

「すごくふわふわする……」

「……こういうのはどうだ？」

「きゃあ！……わ、わー！」

尻尾を前に動かして、首元に巻きつく。
丁度マフラーみたいになる様に。

「ふわ……あったかい」

「気に入ってもらえた様だな？」

「んふ、んん、くすぐったいよー」

巻きついた尻尾の先で頬っぺたや首元を撫でると、擽ったそうに身体を捩らせるAが愛らしい。
ふ、と小さく零す声も、耳はぴくりと跳ねて拾う。
いつもよりよく聞こえてしまうその声に、耳ではない別のものが反応してしまいそうになったが……その前にAが機嫌を悪くしてしまった。

「んー……」

「はは、すまんな」

メモ：頬っぺたを膨らませて嫌そうな顔をするA。擽り過ぎてしまったか？一つ謝ってから額にキスをしてやると、顔をほんのり赤く染め、それを胸元に隠すようにして抱き着いてきた。
Aのこういう所が可愛らしいんだ。
(メモの端に肉球スタンプが押されている)
(連合宇宙軍の大尉がそんなかわいいものを持っているのか……)

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