【WT】薄氷を踏む【男主】 (ページ15)

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ぼんと音がして煙が晴れた頃には地面に寝そべる人型。その顔は満足げだった。

「見事。よもやこの俺が5人足らずしか仕留められんとは……。ヴィザ翁の言うとおり玄界の進歩も目覚ましい」

「11対1だからな。さすがに勝てなきゃやべーだろ。わりーな、1対1でやれなくて」

「……謝る必要はあるまい。これは戦争だからな」

米屋の周りにいつも見るような門。そこから近界民が出てくるわけでなく、棘みたいにきゅっと挟まったのが米屋を狙った。

なんだあれ。トリガー?

「さすがに1人で来てるわけねーよな」

米屋の呟きに答えるように、上体を起こした人型の背後に大きな門。その向こうに黒い角を2本生やした女の姿。便利そうなトリガーだなあ。

「退却よランバネイン。あなたの仕事はここまでだわ」

「はっはっは!不意打ちも通じんのでは完敗だな!楽しかったぞ玄界の戦士たち。縁があったらまた戦おう」

そのまま退却しようとする人型に、合流してきた緑川とおれは攻撃準備に入る。

「相手が退くなら今はそれでいい。深追いするな。戦果は充分だ」

「えー、せっかく倒したのに」

もったいないなあ。まあ、東さんの言うとおりだけど簡単に逃げられたのがちょっと癪。

「みんなよくやった。だがまだ終わってない。B級合同部隊は南部地区の防衛に戻るぞ」

「出水、お前たちはどうする?」

「逃げてるC級のサポートに行こっかなーと。今フリーなのおれらだけみたいなんで」

え、おれもそっちがいいな。楽しそう。でも東さんたちの援護って忍田さんに言われたしな。それが顔に出てたのか東さんがおれを見て苦笑い。

「A、こっちはなんとかなりそうだ。本部長にはうまく伝えておく」

とどのつまりそれは、

「じゃあおれもC級サポートしに行きまーす」

話もまとまってそれぞれの持ち場に戻ろうとするとき東さんが何か奢ってくれるってことに。わあい、寿司がいいなとは思ったけど公平たちが焼肉って言ったからたぶん焼肉になりそうだ。