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旅行 2 ページ8

季節は瞬く間に過ぎ、今日は旅行当日。

『お財布、スマホ、化粧ポーチ、手鏡…あとは…』

信介「えらい大荷物やな。」

『ごめん、信介くん…。』

信介「なんで謝るん笑 移動ほぼ車やし、邪魔にはならんやろ。」

俺たちはお互い連休をとって今日から一泊二日、全国的に有名な老舗旅館へ旅行に向かう。

初めは新幹線のつもりだったのだが、調べてみれば案外近場。高速を使って行くことにした。

『2人で旅行なんて、いつぶりやろか。』

車に荷物を積んで助手席に乗り込む貴方の声は弾みに弾んでいる。

信介「成人祝いで行った時以来か?」

『えー!もう4年も経つんか…。』

時の流れは早いなあ…なんてばあちゃんみたいな顔をして言うものだから、ついつい笑ってしまう。

信介「よし、行こか。」

『うん!』

貴方の分の荷物も持って家を出る。

『…信介くんってやっぱりジェントルマンよな。』

信介「前も言うとらんかったか、それ。」

『言うた気がする笑 なんなら毎日思っとるよ。』

そう微笑み自家用車に乗りこんだ貴方。

顔には出さないが、どうにかしてしまいそうなほど可愛いくて心底困っている。本当に。

その想いを伝えるかのようにそっと空いた手を握って車を走らせた。


***************


『あっこに美味しいジェラートがあるんやって〜!』

目の前にある看板の文字を見れば、中々大きなSAだということが伺えた。


『休憩がてらに寄らん?』

信介「ん、ええよ。」






ぶらりと中を散策し、お目当てのジェラートを買ってテーブル席へ腰掛けた。

信介「…!うま。」

さすが情報ツウの貴方が行きたいと言っていただけはある。

『んね!めっちゃ美味しい!』

相当食べたかったのか、口をむにむにとゆっくり動かしながら味を堪能している。あー好き←




きれいな青空の下、ラズベリー色のジェラート、左手に見えるリング。



(思い出はどんどん写真撮って残してったがええよ。)

いつの日か練達に言われた言葉を思い出した。


徐にスマホのカメラを向ける。





カシャ。




『?珍しなあ、信介くんが写真撮ってくれるなんて!』



信介「すまん、綺麗やったからつい。」


『ふふ、なんや照れるわあ。』


信介「…こういう思い出は、大事やから。」


今も家に飾ってある、あの集合写真もきっと。


思い出



俺達には特に馴染み深いその言葉。何かを察したようにニッコリと笑う貴方が、一瞬だけマネージャーの頃の彼女と重なった。

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作者名:あい | 作成日時:2020年6月5日 22時

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