箱の中 ページ10
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「奥さん？いるよ」
「と言っても」
「祖父さんが勝手に拉致した......
.............ごめん、嫌だったよな？」
「忘れてくれ」
ジルは身体のアザこそ凄いけれど、よく
見たら髪はツヤツヤで肌荒れもしてない
「(ジルのお祖父さんって、確か...)」
「彼の祖父は非道な方法で私腹を肥やして
いるのを耳にした事がありました、ジルの
妻も金稼ぎの為に連れ去ったと...」
「じゃあジルは戦争が終わったら
奥さんと仲良くしなきゃだね」
「...なれると思うかぁ？」
「出会いこそは最悪かもしれない」
「けど、まだどうにか出来る筈だよ」
「...主いわく？」
「主いわくいわく」
ジャンヌは戦争が終わったら取り敢えず
挨拶が出来るように頑張ろうねと言うと
ジルは頭を掻き苦笑いしながら
「...頑張ってみるかぁっっ！」
「おー！」
ジルは優しい人だから、きっと大丈夫
私や主の贔屓目なしに優しい人だから
きっと、大変だろうけども
長く長く時間を費やす事に
なるだろうけども
ジルなら大丈夫だろう
私みたいに火刑に処されて早死にする事
なく、穏やかに老人になるまで...生きて
過ごす筈だ
「だから...私は待ってました、ジルが
来る日を...出来れば来ないで欲しいと
願いながらも」
「けれど、ジルは私に会いに来なかった
私が探しても何故かジルの情報は無く...
時代も中世から近代になっていきました
...」
明らかにおかしいとジャンヌは感じた
伝令神であり、最高神のゼウスのお付き
であるヘルメスにジャンヌはジルの事を
調べて欲しいと願い出た
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