双葉の魔導書

とある休日2 ページ26

しょっちゅう構造が変わるこのアジトはここに来て一週間経った今でも慣れそうにない

なんとかエントランスに辿り着いたところでドアが開く


「アスタ!修行か?おつかれ」

「サンキュー!シュウは片付け終わったのか?」


ところどころ服に土がついているアスタは

気にすることもなく中へ入ろうとする


「バッチリだ!今からキッカに行こうと思ってさ

あと土は外で落としたほうがいいぞ?」


やんわり注意すると「あ、そっか」とアスタは踵を返した

シュウも一緒に外へ出ると魔導書(グリモワール)から出したほうきにまたがる


「シュウはマグナ先輩みたいなカッコいいほうきにしないのか？」


飾り気のない質素なほうきをみてアスタが土を払っていた手を止めた

シュウは一度見せてもらった

マグナの本人曰くカッコイイほうきを思い浮かべ

「ああ〜……」と言葉を探した

正直シュウにはマグナのあれがカッコいいとは思えなかったからだ

しかしそれを伝え、マグナの耳にでも入れば

何らかの制裁が加わることは火を見るより明らかだ

よってマグナ先輩みたいな、の部分を聞き流すことにした


「あんまり飾りすぎても魔を消費するからなぁ…

こういうのにしたいってのを思いついたら変えるよ」

「こだわりかー。じゃ、変えたらみせてくれ!」

「ああ、もちろん」


どうにか切り抜けたことにほっとしているとリムがよろよろととんできた

シュウのカバンをくわえているせいで重心が安定しないのだ

何故カバンを持ってきたのかと不思議そうなシュウにリムは呆れる


「買い物に手ぶらで行くつもりだったっピ?

お金がないとなにも買えないっピよ」

「あ……ありがとう、リム。うっかりしてた」


無駄に往復するところだった…

ご褒美にリムにはいい木の実を買ってあげよう

そう心に決めたシュウは忘れ物がないかを確かめ

アスタと別れるとキッカへむかった

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