story60 ページ10
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船はしばらくこの島に停泊するらしい。翌日も、その次の日も。みんなは嬉しそうに島へ降りて行った。
イゾウとはあれからあまり話していないが、翌日には言っていた通りマルコやハルタと買い物に出掛けていたらしく、夕方にたくさんの武器を持って帰ってきていた。
逆にAは船を降りず、部屋で仕事をしたり、甲板でぼんやりと過ごすようになったりした。
船を降りねぇのか？ と聞いてきた船員には「毎日行っても仕方ないから」とだけ返している。船は嫌いじゃない。陸も嫌いじゃないけど。
ただみんなが嬉しそうに笑って帰ってくる姿を見ては、声をかける方がよっぽど楽しかった。
「A」
甲板でぼんやりしているAに降りかかる声。
「オヤジ、珍しい」
繋がれている機械や点滴がすべて外れているのは、ナースがいないからだろう。マルコも、今日もサッチやエースと出掛けている。
お目付け役がいないからって、すぐ羽目を外すんだから。
「いいの？」と聞けば茶目っ気な表情で誤魔化された。
「それよりお前ェ、イゾウとなんかあったのか」
「……誰かから聞いたの？」
部屋から出てこないのに、細かな情報も耳に入っている。さすが船長なだけある。
しかし、白ひげはゆるりと首を振った。
「雰囲気だな」
「雰囲気か」
特に意識はしていない。これは正直な感想だ。
話していないといっても、家族は1600人もいるのだ。この船にも400人程度は乗っている。それだけいれば、話さない日があっても不思議じゃない。
「別に、なんともないよ。ただ、私の踏み込めないなにかがあるんだろうなって思っただけ」
「イゾウに対して、か？」
「イゾウだけじゃない、他のみんなもそうなのかな。わかんないけど。誰にだってあるでしょう？ 簡単に踏み込まれたくないもの」
白ひげを見上げて。Aは眉を下げる。
「でも、それに触れられたくない人もいるだろうから。私は無理に触りにいかないよ。ちゃんと、弁えてる」
全部が全部、助けてあげなくちゃいけないわけではない。自分で解決したかったり、自分にしかできないものだったり。介入されたくないなら、それに目を瞑るべきだ。
「ならお前ェはそのとき、見て見ぬふりをするのか？」
その問いかけには、さすがに「意地悪だなあ、オヤジは」と返した。
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fuwari(プロフ) - アイズさん» ありがとうございます！嬉しいです。更新頑張ります！ (2022年10月15日 14時) (
レス) id: ff96477080 (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました！更新楽しみにしてます！ (2022年10月3日 0時) (レス) id: 3dc7d1a49b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fuwari | 作成日時：2022年9月17日 13時
