story57 ページ7
その後休憩と称してほんの少しお茶をした。
そのまま帰るのかと思いきや、容赦なく買い物が再開される。また数時間程度。散々振り回された後。
やっとイゾウはAに問うた。
「あと買えていないのはなんだ？」
その問いに、Aは言い淀んだ。まだ買えていないのはインナー。つまり下着である。イゾウと一緒に回っていながら、どう別行動を切り出すか悩んでいたのだが。
タイミングの良い質問に違和感を感じてしまう。
あれだけ連れ回しておいて今質問する意図。なにかあるはずだと見まわしたAの視界にその店が入って、それは確信に変わった。
わかっているくせに、言わせようとしてくるんだ、この人は。
「あの…日用品とか…」
「へえ？」
誤魔化すように言ったのに、意味ありげに眉が上がった。
この数時間でイゾウの性格がよくわかった気がする。優しく見えて、意外と意地悪だとか。
察しの悪い人よりも相当タチが悪い。
「わかってるくせに、言わせないでよ」
「はは、すまん。可愛いなあと思って」
「意地悪ね」
かもな、と肯定して。イゾウは「俺が選んでやろうか？」と言うので、「馬鹿言わないで」と突っぱねて、そのまま足早にその店に入った。
簡単に数着見繕う。会計中、何度かイゾウがいる場所を振り返るが、彼はどこかを見つめて動かなかった。入ってくるよりはマシだけれど。
「イゾウ、」
さっさと購入して店を出て。声をかけようとした彼の傍には恐らく16番隊の隊員。なにか真剣な表情で話し合っている。
その空気に充てられて、しばらく声をかけるのを躊躇った。
「お嬢、戻ったか」
やがてイゾウがこちらに気づいて、16番隊の隊員もAに手を振る。
「どうかした？」
「いや、たまたますれ違ったから声をかけたんだ」
隊員はそう言って、「持つよ」とAから荷物を受け取った。そこで、イゾウが持っていたはずのAの荷物をその隊員が持っていることに気づく。
「え、なんで？」
「いまから船に戻るんで。イゾウ隊長はまだAと買い物するんだったら荷物邪魔だろ？」
「いや、でも私の荷物だし」
「まあまあ」
何故かその隊員は譲らずに、結局すべての袋を抱えて奪うように持っていってしまった。
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fuwari(プロフ) - アイズさん» ありがとうございます！嬉しいです。更新頑張ります！ (2022年10月15日 14時) (
レス) id: ff96477080 (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました！更新楽しみにしてます！ (2022年10月3日 0時) (レス) id: 3dc7d1a49b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fuwari | 作成日時：2022年9月17日 13時
