story74 ページ24
Aをおぶったまま彼女の部屋に入る。生ぬるくなった水が入ったピッチャーがあり、マルコは少し眉を寄せた。
昨晩から体の調子は悪かったはずだ。しんどかっただろうに、朝まで我慢しようとした結果がこれなのだろう。
少し心配してしまう、健気さ。
また少しずつ、彼女の心の中にある「迷惑をかける」という言葉を上書きしていかねばならないと感じた。
Aをベッドの上に下ろす。Aは覚束ない手取りで布団の中に潜り込んだ。掛け布団を首元までしっかりあげて、その上から優しく叩く。
「サッチが粥を持ってきてくれたらそれを食って薬を飲めよい」
「、わかった」
「それから、小電伝虫もサッチに頼んでおくからなにかあれば呼んでくれ、俺に繋がるようにしておく」
「うん」
「ああ、そうだ。なにか欲しいものとかして欲しいこととかあっても言うんだよい」
「…ん」
「あと、」
矢継ぎ早に言おうとするマルコの手首を細い指が掴む。
マルコはハッとして口を閉じた。
「大丈夫。…心配しないで、ただ拗らせただけ」
初めて。自分たちとは違う、弱く脆い少女の発熱。それは常に冷静であるはずの脳内を掻き乱していた。
それをAに見抜かれて、マルコは眉尻を下げる。
「すまん」
「ん、死ぬんじゃないんだから」
掠れた声でAは笑んだ。マルコの動揺っぷりが可笑しいらしい。
「でも、心配してくれてありがとうね」
「ああ」
マルコはまた優しくAの額を撫ぜる。Aはその手に頭に擦り寄せ、それからゆっくりと目を閉じた。
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fuwari(プロフ) - アイズさん» ありがとうございます！嬉しいです。更新頑張ります！ (2022年10月15日 14時) (
レス) id: ff96477080 (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました！更新楽しみにしてます！ (2022年10月3日 0時) (レス) id: 3dc7d1a49b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fuwari | 作成日時：2022年9月17日 13時
