story65 ページ15
ゴミ箱の中に身を潜めてしばらく。男たちの声や足音が遠ざかった。周囲に静寂が戻って、やっとAは外へ出た。
島にいた時ならきっと入らなかった場所。今、躊躇しなかったのは、仲間のため。
息を整えて、また走り出す。四肢が震え、踏み出す足が異様に重い。すぐに息が切れ、肺が痛い。顎が自然にあがり、酸素を求めている。
それでも、止まりたいなんて思わなかった。命がかかっているのだ。大切な仲間の、大切な命が。
路地を抜けて、開けた場所に出た。そこは、見覚えがあって。船のすぐ近くだ、とすぐにわかった。
最後の力を振り絞って、走り切る。船が視界に入る。船の上を誰かが走っていて、慌ただしい。
騒めきがここまで伝わってきて。
よかった、ちゃんと気づいてくれていた。
安心感が胸を支配して。喉が熱くなる。それを抑えるように、Aは甲板にいる人物に向かって声の限りに、叫んだ。
「＿＿＿＿エースッ！！」
「A！？」
「Aが帰ってきた！！」
バタバタと隊長たちが降りて、駆け寄ってくる。口々に心配の言葉を並べる兄たちを制止して、「はやく、」と口走る。
「お願い、ナースたちを助けて…！」
「なにがあった、」
「戦ってるの、男たちが…ッ オヤジに借りがあるって、私たちを人質にしようって！」
「！ わかった、すぐに向かう」
マルコがすぐに不死鳥になり、空へ飛び出していく。その後ろをジョズやイゾウたちが追いかけていった。
「私も、」
場所を説明しなければ。マルコたちの後を追うように足を踏み出したAだったが腕を引かれ、つんのめる。
「大丈夫だ」
エースだ。エースはAを優しく抱き上げてあやすように言う。
「俺たちを呼びにきてくれたんだな」
「うん、でも」
「マルコたちが行ったから。あいつら、俺が言うのもなんだけど強ェんだよ。だから、大丈夫」
「ほんと？」
「ああ、本当だ」
あとは、俺たちに任せろ。
エースの言葉がじんわりと広がっていく。視界が歪んでいって。
誤魔化すように、エースの首元に顔を埋めた。
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fuwari(プロフ) - アイズさん» ありがとうございます！嬉しいです。更新頑張ります！ (2022年10月15日 14時) (
レス) id: ff96477080 (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました！更新楽しみにしてます！ (2022年10月3日 0時) (レス) id: 3dc7d1a49b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fuwari | 作成日時：2022年9月17日 13時
