story52 ページ2
ある程度書類を片付け終えた後。エースに言われた通り、マルコの執務室を訪れた。と言っても、Aに与えられた執務室とそこまで距離はない。ついでにマルコに提出する書類を抱えて、ノックをする。
しばらくして返事があり、ノブを捻った。
「マルコ、」
「ああ、Aかよい」
パッと顔を上げたマルコは。
「マルコ、眼鏡かけるの？」
見慣れぬ眼鏡姿に思わずそう問うた。マルコは「ああ」と言って赤いフレームに指を這わす。
「そういや、見せたことなかったっけな」
「うん、初めて見た。似合うね」
「そうかい、照れるよい」
なんて言いながら、表情ひとつ変えずにAから受け取った書類に目を走らせている。口先ばっかり、と小さく呟いた。
最近、マルコはAに対して遠慮がなくなってきたと思う。ただそれは乱雑なわけではないし、距離が近すぎるわけでもない。
最初は初めて出来た妹の扱いがわからなかったのだろう。でも同じ船で過ごしていくうちに、Aはマルコを、マルコはAを、少しずつ知っていった。
だからこそ。最初にあった大きな気遣いが今は人として最低限必要な分だけになっているのだと思う。
優しさと、厳しさを持ち合わせて。そして、そこにはちゃんと愛があって。
Aにも兄がいたことがなくてわからなかったが、今は思う。
これが、兄妹というものなのだと。
「……なんつう目で見てんだ、お前」
「ん？ 兄っていいなあっていう目」
「なんだそれ」
無意識に見続けてしまっていたのか、マルコが居心地悪そうに頬を掻いた。その前に置いてある書類は全部終わっていたようで。
「あ、ねえ。エースから聞いたんだけど、もうすぐ島に着くの？」
「ああ、午後には着くんじゃねえかよい。なんか買いてえもんでもあるのか」
うん、と頷くとマルコは引き出しから紙を引っ張り出した。広げたそれは地図。簡単に目的地と今の船の位置を示してくれる。
「おそらく降りられるだろうが、まずは偵察が先だよい。船が着く少し前に俺が空から確認してくる。んで、オヤジから許可が下りれば買い物も行っていいよい」
「やった！」
わっと飛び上がるとマルコは頬杖をついて笑んだ。
「誰を連れていくか考えとけよい」
「え、やっぱり誰か連れてかないとだめ？」
たかだか買い物に同伴してもらうのも申し訳ない、というのが表情に出ていたのだろう。マルコはぺちん、とAの額を弾いた。
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fuwari(プロフ) - アイズさん» ありがとうございます！嬉しいです。更新頑張ります！ (2022年10月15日 14時) (
レス) id: ff96477080 (このIDを非表示/違反報告)
アイズ(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました！更新楽しみにしてます！ (2022年10月3日 0時) (レス) id: 3dc7d1a49b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fuwari | 作成日時：2022年9月17日 13時
