物語七十四頁 ページ27
翼
ここがクリスタル。
『私が生まれた国。』
そこはただの荒地
どこを見ても生きている植物が見当たらない
動物も見当たらない
本当にあのクリスタルなのだろうか
人影なんて何もない
崩れかけた家が何軒もある
ここは花屋だろうか。
こっちは八百屋？
こっちは仕立屋？
私は小さい頃を思い出した
目を瞑る
まぶたの裏には賑やかだったクリスタルが浮かぶ
緑に囲まれて人間と動物が共存していた
私と姉上はよくこの道を歩いていた
姉上に手を引かれ城下町を歩いていた
皆が歌いとてもにぎやかな国
私にはその思い出しかない
悲劇のことは何も知らなかった
思い出せないんじゃなくてそもそもその時には私はこの国から出されていたんだ
涙が止まらない
私だけが逃げたんだ。
気がつくと大きな城の前にいた
中に入ると
黒くなった血のシミがそこら中にあった
私は生きてていいのだろうか。
私が生きていたことでたくさんの人が命を奪われた。
もしまた同じようなことが起きたら…
ゼンやミツヒデさんや木々さん
白雪やオビの顔が浮かぶ
もし皆んなが同じような危険に晒されたら
考えるだけで恐ろしい。
私がいなくなればみんなを危険な目に合わせなくて済む
私の自室であった部屋だけ綺麗だった
私の部屋だけ綺麗だなんて
私だけが生きてるなんて許せない
持って来ていた剣を自分の首に向けた
これで終わり
全て終わり
『ありがとう白雪。貴方が私の全てだった。助けてくれてありがとう。』
涙、止まらないや
悔いなんて無いはずなのに
『ゼン、あなたに会えてよかった。物の見方が変わったよ』
手が震える
『木々さん、貴方みたな女性になりたかった』
喉が熱い
『ミツヒデさん、貴方のような兄がいたらきっと幸せだった』
手に力を入れた
『きっと私は貴方が好きだった。オビ…』
さよなら
みんな。
目をつぶり剣を首に刺した
．
．
はずだった。
オビ「何やってるんですか。翼嬢」
剣は首ギリギリで止まっていた
前にはオビがいる
私の腕を掴んでいた
一気に力が抜けて剣を落とした
『オビ…。』
オビ「まだ死なせませんよ」
オビの笑顔が眩しかった
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舞姫桜乃鬼 - 面白かったです！内容もとても良くすごく気に入りました！続き楽しみに待っています！(^ο^) (2017年12月31日 23時) (
レス) id: 0564fd8680 (このIDを非表示/違反報告)
かりそめの蘇生(プロフ) - 面白かったです！続き楽しみにしてます！頑張って下さい！ (2017年11月24日 21時) (レス) id: 30c6595324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みけねこ | 作成日時：2017年8月19日 23時
