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渋谷組物語+あさあつ*弐【TENN】 ページ16

「すっごい……」

阿波は振り回していたタオルを腕にグルグル巻いてうっとりと溜息を着いた。吹き抜けのドームで絶えず吹き荒ぶ風によって乱れた前髪が興奮で汗をかいた額に張り付いている。隣に座る要がちょいちょいとそれを整えてやりながら微笑んだ。


「満喫してるね、待宵さん。」
「そりゃもう!こんなのテレビでしか見たことないもの。やっぱり迫力が違うね。」
「俺に感謝しろよ。」


二人が振り向くとホットドッグを両手に持った九条が得意気ににこにこと上機嫌でいた。その後ろから着いて来た此方はコーラを両手に持った朝倉が片方を要に渡しながら肩をすくめる。


「正確には九条の親父に、な。」
「ほぼ俺だろ。」
「全然違ぇ。」


何時も通りのやり取りである。阿波達の前列に座っていた月夜と敦盛はまたやってるよと目を合わせた。

九条達は九条の両親の好意により夏の長期とも言えない長期休みを利用してアメリカに遊びに来ていた。其の話を九条が持ち出してきた来た時、日頃から放任的な男子連中の親は二つ返事で許可したし阿波の親に関しては要が三年の意地を見せて丸め込んだ。

曰く、此れは唯の旅行では無く現代のグローバル化が進む社会で必要となる経験値を積む為の社会見学で有り阿波にとって必ず貴重な経験になる事は間違いなく、しからば親の立場としては此れを喜び思い切って愛娘の背を押すのが当然で有り、其処に多少の不安はあれど此れ迄の自身の教育を信じ世界への扉を開こうとしている娘の背中を見守るのが賢明で有り。
其のあまりの勢いに「はあ」「ええ」しか言えない母親の顔はかなり見ものだった。そして無事許可を取り付けたその日、要を見送りながら阿波が「必死すぎない?」と思わず言うと要は「後輩の青春を応援する為だから」と苦笑した。

そう言う訳で青春の謳歌真っ最中の青少年達は本場のプロアメリカンフットボールリーグを観戦しにフロリダ州オーランドに来ていた。野球じゃ無くて良いんだ……とは阿波の言葉だが少年達は御飯を食べつつ盛り上がれるスポーツなら何でも宜しいらしい。お手軽な事である。

敦盛は九条からホットドッグを受け取りつつ笑う。


「まあ、確かに九条君と九条君のお父さん、遺伝子ほぼ一緒なんじゃってくらい似てるけどね。今度会わせてほしいな。」


九条が月夜の隣に座りつつ眉をあげる。

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TENN - 更新失礼致しました。 (7月24日 22時) (レス) id: 62190880e4 (このIDを非表示/違反報告)
- 更新しました (2023年2月16日 23時) (レス) id: b1451b29dc (このIDを非表示/違反報告)
- 小鳥遊ふゆうさん» ありがとうございます!本編も裏話もかわいい…!りんちゃんも敦盛くんもゴスロリ似合いそうですね!絶対かわいい…! (2023年2月13日 17時) (レス) @page9 id: e773ddd9f3 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊ふゆう - 更新失礼しました! (2023年2月13日 16時) (レス) id: 8d5fbbd3ac (このIDを非表示/違反報告)
- 小鳥遊ふゆうさん» 了解しました!更新ありがとうございます! (2023年2月13日 7時) (レス) @page8 id: e773ddd9f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http  
作成日時:2023年1月22日 0時

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