二日目 ページ4
今日も朝イチでマティが来るであろうと準備をしていた。
しかし、いくらたってもこない。
マティの身に何かあったのだろうか?
いや、外を見ろ、昨日まで無かった朝日が部屋に差し込んでいる!
帰れる、この忌々しい村から!!
と、一人で歓喜していると。
ゴゥーン……
腹の底まで響くような鐘の音だ。
テルシェは思い出していた。昔絵本で読んだあの事を。
『ミーア村には大きな鐘がある。魔女狩りの鐘だ。それが鳴るとき、村の周りに大きな結界ができる。』
『外からは入れるが、人一人として村から出さない結界だ。』
『鐘は、魔女狩りが始まる合図だ。』
その鐘が鳴るとき、人々のいがみ合いが始まるとーー。
つまり、私は、帰れない?
まさか、バレた? いや、そんなハズが……。
私は昨日からマティにしか会っていない。
マティとは仲が良いと思うし、もしマティにバレても人には言わないと思う。
ーー確証は、無いが。
もしかして、濡れ衣?
廊下掃除をしているマティを無理矢理呼び止め、話を聞く。
「マティ、さっきの鐘って……まさか、誰かまた!?」
少し間を置いて、
「うん、農民のレスター姉ちゃんが……。」
「ごめん、今日は構わないでくれるかな?マティに。えーと、テルシェ……ちゃん?マティはレスターさんを姉のように慕っていたんだ。」
だから、心底傷付いていると割り込むように入ってきた少年は、前にマティが話していた少年だ。
名前はカークと言ったかな?銀髪に緋色の瞳をした少年で、マティの友達のようだ。
一見、優しそうに見えるが私はカークが何となく苦手だと思った。
肩に振動が起きる。
私の肩を強く掴んだのは……村に住む男性だ。
多分耳を見に来たのだろう。
ここは大ピンチーーだが、何と言っても私の能力は『変身』。
体力の酷使に繋がるが、殺されては元も子もない。一時的に耳を人間と同じにした。
変身後、フードを脱ぎ男性に確認してもらい、マティも見て貰った後、男性は戻っていった。
はぁ、もしかして、これは私が死ぬまで出られない……何て事が?
嫌な予感が益々深まっていた。
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作者名:あっすー | 作成日時:2020年1月19日 21時