５８▽ ページ20
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これは多分、夢だ。
俺はきっと夢を見てるんだ。
だけどこの夢は一度現実世界で体験している。
頭の片隅にある錆び付いた記憶。
今を生きるのに必死すぎて昔のことなんて思い出す余裕なかった。
そうだ、俺はこの海で一度見ず知らずの女の子を助けたことがある。
隣町の制服に身を包んだ、眼鏡をかけた長い黒髪の女の子。
少し茶色がかった目のはずなのに瞳の奥は真っ黒で。
なんとかしてあげなきゃって、思ったんだ。
「神山智洋って言います。中2。そっちは？」
「...っ。」
「...わかった、言いたくないときだってあるやんな。ええよ、名前教えんでも大丈夫。」
声を出そうとはしてくれたけど思うように声が出なくて名前は聞けなかった。
その後も中々声を出してくれなかったけど
多分、いじめられてるんだろうなっていうのは何となくわかった。
開いたカバンから大量の落書きが書いてある教科書が見えて、
異常なまでに俺から触られるのを怖がって、
スニーカーが明らかに故意で汚されたような汚れ方をしてて。
いじめられてるんだろうなって気づいたとき、ちょっと自分が言った言葉を反省したんだっけ。
残された奴の気持ち、って。
残された奴の気持ちの前に今ここにいる彼女の気持ちも大事にしてあげなきゃって。
「俺、君のこと全然知らんけど、でも、いなくなったら寂しいなって思う。」
「生きようよって、無責任やけどさ。でもさ、死んだら生きようって思うこともできないよ。」
「正面からぶつかり続けるのもかっこいいけど時にはその場から逃げたっていいやん。」
「ほんまに君のことを大事に思ってくれる人なら逃げてる君をカッコ悪いなんて思わないと思う。」
中学生の俺がひねってひねってひねって出した言葉。
全部全部綺麗事かもしれないけど、でも隣にいる全く知らない女の子を救ってあげたかった。
彼女はボロボロ泣いていた。
声を上げて泣いていた。
その横にじっと座り続ける中学の俺。
こんなこと、思ってたのにな。
中学のときの俺の方がよっぽど立派だ。
大事なこと、大人になって忘れるなんて。
彼女がすっと前を見つめた。
まだボロボロと涙は流しているけどその瞳はさっきよりも綺麗だった。
「ありがと。」
彼女が小さく呟き、俺を見て小さく笑った。
見覚えがある。
もう何度となく見てきた。
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彼女の笑顔は、Aにそっくりだった。
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かみやまつしま♪(プロフ) - お返事ありがとうございます。私のわがままなのに…！短くても、ゆっくりでも、続編があれば嬉しいです。Twitterのアカウントは持っていないのですが、鍵アカウントやフォロワー限定などでなければ見ることは可能です！ (2019年11月5日 18時) (
レス) id: 1532c3336c (このIDを非表示/違反報告)
プシュケ(プロフ) - かみやまつしま♪さん» どうしてもTwitterじゃ都合がつかないという場合は占ツクの方で短編を投稿しようかなと思います。ゆっくりにはなると思いますが、ご了承いただければ幸いです。長文失礼致しました、嬉しいお言葉、ありがとうございました！ (2019年11月4日 22時) (レス) id: fbc756b86f (このIDを非表示/違反報告)
プシュケ(プロフ) - かみやまつしま♪さん» 少し厳しいかなぁ、というのが結論です。ですが、せっかく続編、という言葉をいただけたので、Twitterの方で短くはなりますがお話を書こうかなと思います。Twitterアカウントはお持ちでしょうか？もしお持ちじゃなくても閲覧できるような形での投稿を考えていますが→ (2019年11月4日 22時) (レス) id: fbc756b86f (このIDを非表示/違反報告)
プシュケ(プロフ) - かみやまつしま♪さん» 続編の方は、しばらく時間をかけて考えさせていただきました。そのため、返信が遅れてしまい大変申し訳なかったです。続編の方ですが、明日の贈り物は私の中では綺麗な形で終わっていて、何より完結から一年が経ってしまっているので、占ツクに続編を出す、というのは→ (2019年11月4日 22時) (レス) id: fbc756b86f (このIDを非表示/違反報告)
プシュケ(プロフ) - かみやまつしま♪さん» 完結から一年経った明日の贈り物に、コメントを下さりありがとうございます。このお話は私自身への救済のために書かれた、何とも身勝手で自己中心的なお話でしたが、今でも誰かの心の中に生きているお話に育ち、感無量です。私の方こそ、ありがとうございます。 (2019年11月4日 22時) (レス) id: fbc756b86f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：プシュケ
| 作成日時：2017年9月23日 19時
