謎解き遊戯のサイハテ

島の診療所 ページ41

《鶴亀島診療所》


古ぼけたような木造の看板には、確かにそう
記されていた。

広介はこんなところに送られる予定なのか。

会ったころからうすうす感じてはいたが、彼は幸薄な人間なのだろう。

どう見ても裕福そうな生活をしてきたようには見えない。

Aは彼に深く同情した。


乱「うげぇ…こんなとこに連れてかれたら、逆に体調が悪化しそうだよ…」


『……』

Aは静かに扉をノックした。

はーいという間延びした声が、返ってくる。


扉をあけると、白衣を引っ掛けた医師がいた。


度の強いメガネをかけて、蓬髪で、どこか
頼りなさそうな医師だ。

二人の顔を一目見るなりえっ？と叫んだ。

「あんたたち誰だ？島の人間じゃないな？」

『はあ、どうしておわかりに？』


乱歩もそれが疑問だった。

島に来てからというもの、あった人の数は本当に数えるほどなのだ。

そんな島でくる人が島の島民ではないことがわかるだろうか？


それともこの島は、そんなに人間が病気をするのか？

それはかなり問題だと思われるが_______

「雰囲気が違う」

乱「雰囲気ィ？はぁ、胡散臭」


乱歩が呆れていう。


医師は困ったようにため息をついた。

「胡散臭くてごめんね。でも君、そのうちそんなことは云えなくなるぞ」


乱「どうゆう意味？」


「胡散臭いもまやかしも信じられなくなる。
この島に長居しないことをおすすめするよ。
気がおかしくなる」


彼はそう云って頭を抱えた。


乱「へぇ、なんか大変そーだね」


「当たり前だ。ここにきたのが、運のつきだったってわけさ」



『…名前は？』


「そっちから名乗るのが道理だろう」


『私は大下Aと云います』


乱「江戸川乱歩だよ」


「…八宮空彦(はちみやそらひこ)だ。
この島の診療所を経営してる」

乱「そらひこ？変な名前ェ」

乱歩がカラカラ笑った。


八宮は目を据えて、


八「お前に云われたくないな」

と云った。


『あの、ここへ学生が研修に来るってこと、
しってますか』


すると八宮は目を丸くした。

八「え？なんだって？どっからそんなことを…知らないぞ。なんの話だ？」


『え？ご存知ない？ここ以外に、島に診療所はありますか？』


八「ないけど…」


乱歩とAは顔を見合わせた。


『広介くんに確認しなきゃ…本当ですね、何も知らないって』


八「嘘云うわけないだろ」


Aはバックから携帯を取り出した。

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