【番外編 其の五】素敵な誕生日をあなたに ページ33
十月二十一日、ついにこの日が来た。
心なしか、乱歩はいつもより気分が上がっているようだ。
Aはこの日も、一応探偵事務所に
出向いた。
どうしてか、家にいるのが恥ずかしくて仕方がなかった。
デスクの椅子に座って天井を仰いでは、
何と云ってプレゼントを渡そうかと、考えて
いた。
本を読んでいる間も、そのことが頭から抜けなかった。
時計の針が進むごとに、だんだんと不安に
なってくる。
ちゃんと渡せるだろうか。
なんて。
いやいや、告白するわけでもあるまいし。
そう思いながらも、やっぱりドキドキしているのだった。
そんな思いを抱えて電車に乗り、家に着いた時には、一昨日の頃よりもずっと暗くなって
いた。
扉を開けてもいつもと代わり映えのない光景。
どうしてか、いつもより特別に見えた。
部屋に入ると、乱歩がいた。
乱「あ、おかえり」
いつもと変わらない、普通の表情だった。
そのせいで、不安になってしまう。
渡さなければ、買ったことが無駄になる。
それだけは、いけない。
あってはならない。
『乱歩君、あの、』
乱「なに？」
『今日、誕生日なんでしょう？これ、あげる。
いらなかったら、返して…』
乱歩は、一瞬キョトンとした顔をした。
笑われるかな、そう思ってしまった。
だが彼女の予想は大いに外れたのだ。
乱「Aちゃん、ど、どこで知ったの？
僕、僕凄く嬉しいよ！ありがとう！』
彼はAがかつて見たことがないほど、
きれいに、満面の笑顔を見せた。
『よかった…』
自然と、笑顔になった。
この時彼女は、嗚呼、よかったなぁと、心から
思ったのであった。
乱「ねぇ、君は誕生日、いつなの？僕、お返しがしたいんだ」
『私の？』
乱「うん」
彼女は笑った。困ったように。寂しそうに。
『さあ？誕生日、忘れちゃったんだ。あんまり意識とか、してなかったものだから。思い出させてくれる人もいないしね』
乱歩は笑おうと努めた。笑顔はどう頑張っても
出てこなかった。
彼は必死になって探しているのだ。
次の一言で、彼女を救うためには、何と云えばいいか。
異能なんて、全くもって役に立たなかった。
乱「十一月、十五日だ」
『…何が？』
乱「君の、誕生日」
『そうなの？どうしてわかるの』
彼はそれから満面の笑みを浮かべて、
乱「当たり前だろ？僕は、名探偵なんだから」
『名探偵、ねぇ…』
そうして二人は、いつまでも笑っていた。
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丸ノ内マルフォイ - 闇川幽鬼さん» おお！とても丁寧なご説明、ありがとうございます！もう絶対教えてくれる人とかいないだろとか思ってたんで、とてつもなく嬉しいです！これからも更新頑張っていきますので、何卒宜しくお願いします！ (2019年9月5日 22時) (
レス) id: f3401d0768 (このIDを非表示/違反報告)
闇川幽鬼 - 次に貼り方は貼りたい場所を長押しすると上に「ペースト」という文字が出ます。それを押してコピー完了・・・だと思います。・・・説明下手ですいません。分からない所があれば言って下さい。上手く説明出来るか分かりませんが頑張ります。 (2019年9月4日 23時) (レス) id: 56867ea8da (このIDを非表示/違反報告)
闇川幽鬼 - いつも楽しく見させて貰ってます。URLの貼り方は貼りたい文字を長押しすると青い枠？が出てきます。枠の青い丸を長押しスライドさせて貼りつけたいURLを選択します。上に「コピー」という文字が出ます。それを押してコピー完了！ (2019年9月4日 23時) (レス) id: 56867ea8da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：丸ノ内マルフォイ | 作者ホームページ：http://subetenohazimari
作成日時：2019年8月14日 23時
