謎解き遊戯のサイハテ

【番外編　其の三】　人が喜ぶ贈り物？ ページ31

「というわけで君！君さえ良ければ私達と
一緒に買い物しないかね？君は誕生日の贈り物で悩んでるだろう？」


『はあ、ぜひご一緒させてください…』


その場の流れで、はあそれではと承諾して
しまった。



彼女はまだこの状況が飲み込み切れてない。


「あっ！名前を名乗らないのは失礼かな？
私は森鴎外というんだ。で、こっちが」


「あたしはエリス！仲良くしてね！」

「太宰治。なんか変なのに付き合わせ
ちゃったね」



数秒遅れて、今自分が何をすべきかがよぉく
わかった。



『私は大下Aと云います、よ、よろしくお願いします…』


その自己紹介に満足したように、鴎外はまた
満面の笑みを浮かべた。


「さあAちゃん！早速買い物に出だ！」


『え？あ、ああ…』


「ほらA！早くしないとおいてっちゃうわよ！」


無理半分、嬉しさ半分でAは彼らに着いて行った。

洋服屋、ケーキ屋、文具店、…様々な店を探して、見つけては入って、気になったものを
見て回った。


だがどの店へ行っても、"人が喜ぶ贈り物"
というのは、果たして見つからなかった。


正確に云えば、見つけることができなかった
のだ。


「君は誕生日プレゼントとか貰ったことないの。親から、とか」


太宰が話しかけてくる。

Aは返答に困ったが、あんまり嘘を云っても仕方がないので、

『…ありません。貰ったことも贈ったことも。
だから今回が初めてなんです』


「….なんか、ごめんね」


『いえ、大丈夫ですよ。そんなこと』


笑って返したものの、彼女は理解があまり出来なかったことが事実だ。

そもそも子供というのは、なにかこう催しの時に、プレゼントを貰うものなのだろうか。


「ねぇA！この服、可愛いでしょ？」


『うん、よく似合ってる』


「だってリンタロウ！あたしこれが欲しい！」


「いいねぇエリスちゃん！」



初めてだった。
誰かにここまで気を遣ってもらうことが。

こんなに華やかな買い物があったなんて、
まるで知らなかった。

「ところでAちゃんは何にするか決まったのかい？」


『いえ、一体なにをあげれば人が喜ぶのか、
全くわからなくって…』


するとエリスがキョトンとした顔をして、
明るい大きな声で笑った。

「A、そうゆうのはね、貰う人が喜ぶかを考えて選ぶんじゃなくて、自分が貰ったら
嬉しいものを選ぶのよ」


『私が貰ったら、嬉しいもの…？』


「ええ！Aはなにを貰ったら嬉しい？」

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