謎解き遊戯のサイハテ

トリックアート ページ25

広介とAは電話番号を交換し、詳しい
ことはあとで話すといって広介が帰った。



鉛のような足を引きずりながら、スーパーへ
向かい、そして家へ向かった。


家の扉をあけても、誰もいなかった。
仕方ないから、一人で夕食を作っていた。
作り終わっても、二人は帰ってこなかった。
冷めないようにラップをかけて、テーブルの上に置いた。


部屋へ行って、布団に顔を埋めた。


なんだかひどく寂しい。


いつも、一人だったはずなのに。


眠くなる、いや寝てはいけない。
また歩いてしまうかもしれないのだから。



涙は、出てこなかった。


乱「ただいまぁ！アレっ？いい匂い！」


福「A、もう帰ってるのか？」


返事ができなかった。

自分は彼らと一緒に暮らしているはずなのに、自分は彼らに隠してることが多すぎる。

アレもコレも、全部隠してる。


でもそれを漏れなく云ってしまったなら、二人は私を遠ざける。

わかっている。

云わないでおくんだ。


知ったとして、いいことなんて、何一つないのだから。


自分の身体を鏡越しに見る。

嗚呼厭だ、忌々しい…。

全部奴らのせいか、嗚呼、忌々しい…。


彼女は悶々と、そんなことを考えていた。


乱「あれぇ、珍しいね、寝てるの」


『…起きてる。もう迷惑な電話はしないで』


乱「うっ…わかったよ、ごめんごめん。
…っていうかさ、君、暑くないの？もっとラフな格好すればいいのに。家なんだし」


意味もなく手で風邪を送りながら、暑そうに
こちらを見る。


『私は寒いのが嫌いなの』


乱「あっそ」


なにかが引っかかる、といいたげな目をしてから、乱歩はドアを閉めた。



また、一人になってしまった。

悪夢→←島の由来

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