【番外編】池田屋�� ページ41
※夢主人間設定
戸を突き破られる音が聞こえるなり、男達は刀を持って立ち上がる。
慌ただしく部屋を出てみれば、そこには浅葱色の羽織を着た新撰組が刃を振り回しながら暴徒している様子が見られた。
気づけば皆戦ったり逃げたりで、私は部屋に残されていた。
途端、その場に居合わせた見知らぬ他の藩士と目が合う。
｢さて、どうするか｣
私に問いてるのか、真っ直ぐ瞳を見つめてくる一人の男。美男だ。真夜中でも金色に輝くその髪の毛はまるで獅子を思わせるかのように豪華だ。
たしか奴は藩は薩摩といったか…と曖昧に記憶を巡らせる。
｢放っとけ。生きるか死ぬかは時間が決めるさ｣
そう放ったはそばにいた黒髪の男。腰元まで伸びた長い髪を括っている。
さらに加わって赤髪と、三人の男が目の前に立ち構える。
｢人間なぞに興味はないが、女人の一人くらいなら助けてやっても良い｣
女人という言葉を向けられて言葉に詰まる。
｢…いつから気づいていた｣
見抜いた途端フフ、と慎ましやかに笑う男。不気味だ。
その時、襖が突き破られて、二人の隊士が入ってきた。
｢ここは任せたぜ｣
気がつけば、窓に手をかけて去っていく黒髪の男。
さらに逆を見れば、男が刀を向けてじわじわ近づいてきていた。
そして一突き。普通なら一撃でやられていたであろうところを難なく避けると、空中に半円を描くようにして素早く刀を抜いた。
｢どけ｣
さっきの金色の髪の男が私の肩を押して前に出て、次の攻撃を刀で食い止める。
呆然とその戦うやり取りを見ていると、不意にこちらに目配せして、
｢何を惚けている。逃げるのなら今の内だぞ｣
その訴える声は小さく。
それに素直に従うように刀を静かにしまうと私は思い切って窓から飛び下りた。
足がやや痺れるが、なんともない。
顔を上げると、まだそこには隊士がうろついていて、私を見つけるなり、刃を振りかざした。
足が痺れるのをいいことに、心臓を一直線に狙ってきた。
その攻撃を寸前で避けた私は首から鎖骨にかけて縦に赤い傷が入ったに留められ、あとは一目散にその場を去った。
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作者名：鬼巳 | 作成日時：2017年10月28日 16時
