【薄桜鬼】彼女が凛々しくいる理由 (ページ2)

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あれから数年後、一人前の強さと逞しさ(兄様達には欠けるが)になった俺は修行の身で都を訪れ、風間という男にあった。

『貴様…』

その男は眼で俺をしばらく捉え、何か考えている様子だった。そうして俺が独り身であることを知ると、共に来い、と言い出した。

以上は会話の一部の抜粋であるが、正直、肩がぶつかっただけで宿が簡単に見つかるとは思いもよらなかった。

男の名は風間千景といった。

* * * *

｢…不知火さん、あとどれくらいですか?｣

｢あと少しだ。頑張りやがれ｣

｢こ、こんなに歩いたの、初めてですよ…！どうしてアレ使わないんですか?｣

｢ああ？ったく、うるせえ奴だなァ。文句言ってねえで歩け｣

｢うう…ちょっと休んだらすぐ行きます…。先行っててください｣ﾁ-ﾝ

｢おい…本気で言ってるのか？｣

弱気を見せるように力なく掌を天に向けてヒラヒラさせる。

すると不知火さんはこちらに背を向けて屈んだ。

｢…ほら｣

｢結構です｣

｢あ！？(怒)わがまま言ってんじゃねえよ｣

なんてふざけ合いができるのもきっと過去の積み重ねあっての事なのだろう。

本当に、父上に心から感謝しなくては。

…しかしそう楽しいばかりが続くわけではなかった。