君を見つけるまで。 (ページ47)

今日:4 hit、昨日:8 hit、合計:50,559 hit

．ページ47

「光くん、出来たらでいいけど

庭の水やりとかお願いしてももいい？」

「あ、了解」

「ごめんね、ほんとは俺がやること

なんだけど涼介様と行かないとだし」

出掛ける間際になって用意し始めて

忙しそうな圭人に声をかけられる。

「あ！出来たらでいいからね？

無理しなくていいから。

無理だけはしないで。約束ね」

強引に小指が絡む。

「約束」とかには厳しいんだよな、なんて。

でも、ちゃんとやらなければならない。

俺に出来ることは減る一方だし…

「行ってくる。帰りは何時になるか分かんない

けど、夜は家で食べる予定だからよろしく」

「いってらっしゃいませ」

「かしこまりました」

頭を下げると、そのうちに扉は閉まった。

よし、早々に水でもまこう。

一番外の門、本家の玄関の扉の鍵をしめて、

ホースなどが置いてある物置へと向かう。

すると、門の外に不審者のような人が見えた。

全身黒で長身そして顔はマスクで覆っている。

不審者としか思えない。

「圭人？今どこ？」

「え？もう街の中心だけど。何かあった？」

「あ、ごめん、ありがと。」

ここからは不審者に聞こえないように

声を潜めて話す。

「なんか家の前に不審な人来ててさ、

追い出そうかな、とか思ったんだけど涼介様が

近くにいない方がいいかなとも思って」

圭人が間を置く。

「…もしかしたらその人、髙木さんかも」

「誰？」

「前言った、光くんのこと探してる人」

「え…」

たしかに長身だし、その線はあるかも。

「ごめん、助かった！ありがと！」

急いで電話を切って、

平静を装って服装も整える。

じゃああの人に話しかけてみよう。