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______気がついたら、自分の部屋のベッドだった。
今方眠りから覚めたばかりのように、ボーッとする頭を振って、ゆっくりと起き上がる。
……あれ、何してたんだっけか。
……ん?何してたも何も、普通に寝て起きただけじゃん。あれ、ボケ始めたかな。
やー、それにしても、随分と濃い夢だった気が。
今日はっ日曜日〜明日もっ日曜日〜
という現実逃避の歌を歌いながら、ぐぐーっと背伸びをして、ベッドから降りる。
______シャラン
『……ん?』
なんだこのネックレス。
いつのまにか首にかかっていた、見覚えのないネックレス。うん?私これどこでもらってきた?
いや、寝る前に身につけた覚えさえないのだけど。
『………は?』
______いきなり、頬を転がり落ちた涙にギョッとした。
『え?は?何、何で泣いてんの?』
分からない。
なぜ涙が止まらないのか、
なぜこんなに悲しいのか、
なぜこんなに胸が張り裂けそうに苦しいのかも。
分からない、何も分からないのに、何か大切なものを失ったような、ぽっかりと胸に空いた喪失感が私を襲う。
『……なに、ッなんだよ!!何でこんな……ッ!!』
項垂れた顔から、涙がボロボロと落ちてシーツに染みる。
パジャマの胸元を握り締めて、過呼吸を繰り返しながら嗚咽する。
何を、何を忘れてる?何を思い出せない?
嫌だ、忘れたくない、まだ、まだ、貴方を、忘れてはいけない。
いやだ、やだ、まだ行かないで、まだ消えないで、ずっと一緒に、その腕で、抱きしめて、
私を、置いていかないで、手を握っていて、まだ、目をつぶらないで、そんな顔で、笑わないで。
泣かないで、苦しまないで、笑って、幸せに笑って。
『………ぅ、ぁ、あああああああああ!!!』
胸が痛くて、張り裂ける。
苦しくて堪らなくて、大声で泣き叫んでも、貴方は戻ってはこないのに。
私の涙を、その白い手で拭ってはくれないのに。
壊れたように滂沱の涙を流す私を、母さんが驚いたように呼んだ声がした。
何故か、その声が酷く懐かしい。
けれど。
私は今、何よりも、誰よりも、貴方の声が聞きたかった。
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______声も、顔すら知らない貴方の。
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_fin_
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麗夜 - 最高です…!!ツイステキャラみんな好きなんですが、ルシア君が出てきてから一瞬で心臓に矢がこう…トスッと(?)、先の展開がまったく読めくて、最後までドキドキしましたが、ラストシーンの夢主ちゃんとルシア君が……!!ハピエンが欲しいです、長文失礼しました (11月24日 22時) (レス) id: 15566df1e2 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 好きです。ハッピーエンドを下さい (9月3日 21時) (レス) id: 3a2d829bf4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - ルシアァァァァァァ!!!!ガチ泣きしました好きです。 (5月26日 21時) (レス) @page16 id: 699f0917a9 (このIDを非表示/違反報告)
- 泣きました。好きです (2022年12月26日 19時) (レス) @page16 id: de2d7f656a (このIDを非表示/違反報告)
にゃん丸 - とても良かったです!本当に感動とドキドキさが凄かったです。素晴らしい作品をありがとうございます!。゚(゚´Д`゚)゚。 (2022年12月3日 9時) (レス) @page16 id: 397365c42d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白桜 | 作成日時:2020年10月17日 18時