59 ページ10
.
『えっと、とりあえず、どこに行こうかな』
鏡舎から出て、とりあえずぶらぶらと歩き出す。てか周囲森すぎ。いやなんだ森すぎって。いいや伝われ。
『んー、ん？』
おそらく学園だろう方角へ足を進めていたら、ふと何かが見えた気がした。……人？
地面に投げ出された足しか見えないけど、多分学園の生徒だろう。このままじゃ木が多すぎて迷いそうだし、道でも聞こうか。
……つか、倒れてるんじゃなかろうな。
『いやそれはヤバイヤバイ』
呑気な思考が一気に焦りに変わって、私は慌ててその生徒に走り寄る。
そして、視界に飛び込んできたのは、輝かしい銀髪をそよがせた、これでもかというほどに麗しい横顔。
『……シルバー』
石膏のように白い頬に長い睫毛の影を落とし、少し開いた唇から薄紅の舌が覗く。子どものように幼いながらも、その寝顔はどこか神聖だ。
『……え、これどうすればよいの？今日授業あんだよね？おこ、起こしたら怒られるか……？』
いやシルバーが怒る姿なんて想像もできないけど。
迷いながらも、このままではいけないと思ってその肩を軽く叩く。
『……あ、あのー……』
名前呼んだら何で知ってんねんってなるから、とりあえず指示語で呼びかける。
……起きないな。眠り深。
『あ、あの！』
今度はちょっと大きめの声で呼びかけてみる。
すると、シルバーのまぶたが動き、長い睫毛をふるりと震わせながらその紫色の虹彩に私を映した。
あ、起きた起きた。
『すみません、こんなところで寝ていると＿＿』
「＿＿__俺の頭を撫でてくれ、天使様」
…………うん？
『えと、何言って』
「天使様。俺だけの天使様。もっと俺に触れて」
切なそうに目を細めながら、焦がれるように自分の肩に置かれていた私の手に擦り寄る。
反射的に引くよね、手。
「……どうして」
少しだけ悲しそうに、眉を下げるシルバー。いやいやどうしても何もないですよ。
え、何？天使様って。私そんなお綺麗なものじゃないんですけど。
魅了の効果だとしても、今までこんな変なこと言い出す人いなかったからマジでハテナしか出ないんだが。
「天使様、俺は天使様の名が知りたい。いや、まず俺からか。俺はシルバー。好きなように呼んで欲しい」
いやできればもうなるたけ会いたくないから呼ぶ機会もないかな……。
「天使様の、名前は？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2181人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みかん(プロフ) - ルシア君ﾏｼﾞﾃ好きぃ…。天才ですか！？ (2022年12月18日 23時) (
レス) id: 35aefc2ecc (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - マジ、ルシア君殺さないでぇ……。まだ、続き見てないけど…。まだ、先見てないのに号泣すぎてやばい。。 (2020年10月25日 22時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
アホの化身 - 君が泣くなら私も泣く、ってどうゆう脅しよ。 (2020年10月18日 15時) (レス) id: 62410cc231 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 夢主人公のイメージイラストが見てみたいです (2020年10月16日 17時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
Airu(プロフ) - 53話マジックペンではなくマジカルペンでは？ (2020年10月14日 11時) (レス) id: a37b93bc71 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白桜 | 作成日時：2020年9月3日 21時
