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「ほーんと、みんないつになったら学ぶんスかねぇ。Aは、オレたちのもの。他寮なんかに渡す気なんざサラサラないんスよ」
『……ラギー』
背後からいつのまにか現れた彼は、私と二人の間に入って怒りを溜めて言う。
グルル、と喉を鳴らすがジャミルはそれに怯まず、澄ました顔でラギーを見据える。
「それは、お前たちが最初に出会ったから言っているだけだろう。最初に会ったからどうだと言うのは自分に自信がない証拠じゃないか?」
おおう。ジャミル氏言いよる。
「そうっスね。でも考えてみてくださいよ。オレたちがいなかったら、Aは今頃どこぞの野郎に襲われてたかもしれないんスよ?」
「そんなもしもの話は意味がない。それに、どうせサバナクローがいなくてもどこかの寮か学園長が保護しただろう」
「そんなもしもの話はいらねぇんスよ」
バッチバチやん。
火花が散る様子が二人の間に見えるようだ。
え、当事者?知らん知らん。ワタシカンケイアリマセーン。
横を向いて無関係なフリをしていたら、ちょいちょいとカリムがジャミルの陰で手招くのが見えた。
ん?なんだろ。
前にはラギーがいるので、大きくは動かずに首を少しだけ傾ける。
……?上?
カリムが上空を指差すので上を向いてみると、なんとそこにはあの空飛ぶ絨毯がふわふわと浮かんでいるではありませんか。
え、これで逃げろってこと?
戸惑いながらも振り向けば、カリムはコクリとうなずいた。
ラギーはジャミルと舌戦の真っ最中でこちらに気づいてはいない。いやむしろこれジャミルが自分に注意を引きつけてるな。
何も話してないのに、幼なじみの意思疎通感レベチ。
ゆっくりと絨毯が乗れとばかりに降りてくるが、私はそこでふと迷う。
だって、確かにこれラギーに着いてったら確実に怒られるけど、約束したんだよなぁレオナさんと。
レオナさんとの約束破ったら絶対後がヤバそう。
でも怒られるのは嫌だ……グヌヌ。
早く乗れとばかりにジャミルがこちらをチラリと見るが、いやもちょっと迷わせて。だってレオナさんとの約束だぜ?
そんなことを悶々と悩んでいたら、やはりと言うべきかもっとヤバイことになった。
「はぁ、もう埒があかないっス。A、もう帰」
私を振り向いたラギーが目を見開いた瞬間、ヤベッと思う間もなく腕を強引に引き寄せられた。
「……何、オレを騙そうとしたんスか?……A」
オワタ。
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みかん(プロフ) - ルシア君マジテ好きぃ…。天才ですか!? (2022年12月18日 23時) (レス) id: 35aefc2ecc (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - マジ、ルシア君殺さないでぇ……。まだ、続き見てないけど…。まだ、先見てないのに号泣すぎてやばい。。 (2020年10月25日 22時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
アホの化身 - 君が泣くなら私も泣く、ってどうゆう脅しよ。 (2020年10月18日 15時) (レス) id: 62410cc231 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 夢主人公のイメージイラストが見てみたいです (2020年10月16日 17時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
Airu(プロフ) - 53話マジックペンではなくマジカルペンでは? (2020年10月14日 11時) (レス) id: a37b93bc71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白桜 | 作成日時:2020年9月3日 21時