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どうしようこれ言ったほうがいいんかな。
「教えてくれ」
私の手をギュッと握って懇願するシルバー。え?何君こんなに必死な顔すんの。
いやでも、これ名前言ったら確実に面倒くさくなる気が……。
「お願いだ」
『……Aデス』
こんな超絶美形に頼み込まれて断れる女がいるか。
もう諦めてハハハ……と遠くを見つめていたら、シルバーがいきなり私の腕を強く引いた。
『うおっとぉ!?』
私に女子力なんてのは期待すんな。反射的な声は取り繕えん。
てか今どういう状況。森でお互い初対面の男女が抱きしめ合ってるってどういう状況。
「あぁ、A、A。天使様の名は甘美だな……」
そうですかね。至ってフツーの名前ですけどね。
「A……」
ひとまず耳元で私の名前うっとり連呼すんのやめて欲しい。
『あの、離れて、』
「Aが、俺の名を呼んでくれたら、離れる」
いつのまにそんな交渉術学んだの!親父殿!親父殿は一体何やってんだよ!
「呼んだかの?」
『ヒッ』
目の前に逆さまに綺麗な御尊顔がひょいと現れました。そして今ので私の心臓はびっくりして止まりました。
『どっ、から……』
「なんだか呼ばれた気がしての。というよりこれはどういう状況じゃ?人の言う、ろまんすか?」
『違う。断じて違う』
会って数分の男女にロマンスも何もあるか。
「なんじゃつまらん。……で、お主名は何という?」
スタッと空中から降り立って可愛く首を傾げるリリア様。
この状況を。この状況をなんとかしてくださいまずは。私の名前なんぞどうでもいいんで。
「……ふむ?不思議な魔力じゃの、お主。わしが惹きつけられるとは。微量じゃが………あぁ、抑制しているのか。なるほど、中々の爆弾を抱えている」
ウンウンと頷くリリア様。怖いです。貴方に言われるととても現実感が増して。
「シルバーはお主のユニーク魔法に魅せられたか。寝起きじゃったから、効きやすかったのかもしれんな」
未だ私を抱きしめて離そうとしないシルバーを見つめて、冷静にそう分析するリリア。いや、だから、この状況を……。
「……親父殿」
不意にぽつりと呟いたシルバーに、リリアは「なんじゃ?」と楽しげに笑う。
「天使様は、……Aは、俺と二人で話していたんです。……俺は二人がいいんです」
つまり邪魔だからどっか行って欲しいと。
そのキラキラお目々やめいリリア様。
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みかん(プロフ) - ルシア君マジテ好きぃ…。天才ですか!? (2022年12月18日 23時) (レス) id: 35aefc2ecc (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - マジ、ルシア君殺さないでぇ……。まだ、続き見てないけど…。まだ、先見てないのに号泣すぎてやばい。。 (2020年10月25日 22時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
アホの化身 - 君が泣くなら私も泣く、ってどうゆう脅しよ。 (2020年10月18日 15時) (レス) id: 62410cc231 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 夢主人公のイメージイラストが見てみたいです (2020年10月16日 17時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
Airu(プロフ) - 53話マジックペンではなくマジカルペンでは? (2020年10月14日 11時) (レス) id: a37b93bc71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白桜 | 作成日時:2020年9月3日 21時