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ぐりぐり。
「あぁ、お久しぶりですAさん。」
『あ、はいお久しぶりですー沖矢さん。お邪魔してます。』
ぐりぐり。
「ちょうどシチューを作ったんですが、良かったら食べて行きませんか?」
「あぁいいですね。では喜んで。』
ぐりぐり。
「ちょっといい加減痛いんだけど!」
『え何お前まだ反省したりないの?』
「ゼヒヨロシクオネガイシマス。」
俺たちがこの阿笠邸に着いた時、優雅にコーヒーを飲みながら「あら、遅かったじゃない」と抜かしおった湯葉の頭をぐりぐりし続け早10分。
こうして今俺は湯葉を完全に掌握しているのだ!
あ今のちょっときしょかった。
「ねぇ、Aさんは千草お姉さんを知ってるの?」
『ん?知ってるっていうか、顔馴染み?同郷の人?みたいな。ただの知り合いだよ。寧ろ俺としては君らが何で知り合いなのかが疑問なんだけど。』
ジトっと湯葉を見つめると、湯葉はぐりぐりから解放された頭を不満そうに撫でた。
「FBIの仕事でちょこっと会ったことあるだけよ。このボウヤは何故か色んなところに顔を出すから。」
「あ、あはは……。」
コナンが誤魔化すように頭をかいて笑う。いつも思うけどお前誤魔化すの本当下手な。
ギャップか?ギャップを狙ってんのか?
急にぐりんとコナンがこっちを向く。
「今なんか変なこと考えたでしょ。」
何故分かった!?
目をひん剥いて驚愕していると、呆れたようにため息をつかれた。
小学一年生にため息をつかれる大人の図。泣くよ俺。
つか今までのやりとりを見ていると、湯葉はコナンの正体を見抜いていない体らしいなー。じゃあ俺は沖矢さんのことを見抜いていない体でいこ。コナンには正体気付いてるって勘付かれたけど、沖矢さんは多分見抜きようがないよな。
完全に顔の造形違うし。
「Aさん、すみません。運ぶのを手伝っていただけませんか?」
キッチンから沖矢さんがそう呼ぶので、沖矢さんから盛り付けられたシチューを受け取って丁寧にテーブルに並べていく。
あぁ、美味そう。
ふと湯葉を見ると、コナンに何やらからかわれていた。
必死に自分の耳を隠して、なんか悶えてる。
何やってんのあいつら。
呆れて見ていると、ふと爆発の時のことを思い出した。
_____あの喪失感は、まるで。
ふわりと答えが浮かんだ気がした。
でもそれは、ありえないと掻き消す。
だってあいつは、
_____生きている筈だから。
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りと - 前の方々と同じく一気読みしました!()いや、もう絶対湯葉さんの正体…(自制)。っぱ男主なんだよなあ^^更新お待ちしてます! (3月16日 10時) (レス) @page14 id: 38cba3250a (このIDを非表示/違反報告)
ディちゃん(プロフ) - 一気!一気!一気読み!!更新頑張って!! (2022年3月11日 18時) (レス) @page14 id: 7ad8b1babb (このIDを非表示/違反報告)
鈴鹿 - 1話からイッキに読みました!めっちゃ面白かったです。更新頑張ってください。 (2021年7月24日 11時) (レス) id: 2e973fc2c9 (このIDを非表示/違反報告)
白神冬喜 - イッキ読みしました! この作品は面白くて続きが気になります。更新頑張ってください!! (2020年6月11日 17時) (レス) id: 5db560dcd8 (このIDを非表示/違反報告)
すや - 続編おめでとうございます!!そしていきなり4話も!ありがとうございます!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2020年5月20日 23時) (レス) id: 8d0d2487b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白桜 | 作成日時:2020年5月20日 1時