64 服部SIDE ページ30
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「はぁ……。一体お前らは何の用でわざわざ大阪から東京まで飛んで来たんだよ。」
俺と和葉の険悪な雰囲気がなくなって、まったりした空気が戻ってくると、おっちゃんが呆れたような口調で言った。
菓子だって出さなきゃなんねぇし……とぶつくさ言うおっちゃんに、毛利が口を挟む。
「いいじゃないお菓子くらい、ケチ臭いこと言わないでよねお父さん。せっかく来てくれたんだし、そう邪険にすることないでしょ。」
ド正論におっちゃんが思わず黙り込む。
相変わらず毛利が一番強いんやなぁ。
まぁうちもオカンが強いけど。
工藤は我関せずといった感じで何か考えこんでいる。
……?
少し気になったが、後で聞けばいいかとテーブルに置いてあるクッキーを口に放り込んだ。
「あ、そう言えば。」
ふと思い出したように毛利が工藤を見る。
「コナン君、Aさんどこに住んでるか分かる?」
工藤の顔が、強張った。
Aさん……?って誰やねん。
俺らが首を傾げている間にも、話は進む。
「うん……、知ってるけど、何で?」
「なんか園子がまた会いたいって言っててね。ポアロにも最近来てないって安室さんも言ってたし、私ももうこのまま会えなくなっちゃうのは嫌だなーって。もしコナン君がAさんと仲いいなら、この前のお礼も兼ねて行こっかなって。」
工藤が息を詰めているのが分かる。どこか焦っているようにも見えた。
「あ、そ、そっかぁ。でもボクも最近会えてないんだよね。なんだか忙しいらしくて。」
「あら、そうなの?」
「うん!だから、何かあったらボクからAお兄ちゃんに伝えとくよ!」
「ありがとうコナン君。」
どこか慌てるように言う工藤に、毛利はにっこりと微笑んだ。
「なぁなぁ、Aさんって誰なん?」
和葉が好奇心に任せて毛利に聞く。
「私たちがポアロで仲良くなった人でね。なんか不思議なオーラというか、空気を纏ってる人だよ。今まで見た中で一番男の大人の人って感じがしたなぁ。」
そいつのことを思い出したのか、毛利が優しくふわりと微笑む。
工藤がピシッと固まった気がした。
「ヘぇ〜、なぁなぁ、イケてた?」
「うん!カッコ良いっていうより、美人って感じだったけど、見たこともないくらい綺麗だった!」
「へー!一回会うてみたいなぁ。」
今度は俺がピシッと固まった気がした。
「……いい加減にしてくれ……。」
おっちゃんが一人、コーヒー片手に黄昏ていた。
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れいん。(プロフ) - え、どうしようこの夢主君めちゃ好みなのだが。好きですだいすきです(唐突な告白)うんもう好きですはい() (2020年5月21日 0時) (レス) id: 444283ccfe (このIDを非表示/違反報告)
白桜(プロフ) - 灰虚さん» 今確認して気づきました。本当にナチュラルに赤井さん呼びしてましたね……笑教えてくださりありがとうございます。これからもこの作品を読んで頂けたら嬉しいです。 (2020年4月19日 12時) (レス) id: 33d5312230 (このIDを非表示/違反報告)
灰虚 - 53の主が帰るときに赤井さんと言っているのは仕様ですか? (2020年4月17日 12時) (レス) id: 62887d35ec (このIDを非表示/違反報告)
星の桜(プロフ) - あ〜...凄い好きです。本当に大好きです。言葉に出来ません...世界観も。夢主も。うん、好き()エルディアブロ...スペイン語では「悪魔」て言われるやつっすねぇ...良いわぁ。更新頑張って下さい!!応援してます!!! (2020年3月11日 23時) (レス) id: 847ebd8ac8 (このIDを非表示/違反報告)
夕柳(プロフ) - はぁあああああああ!!更新ありがとうございまア゙ア゙ア゙ア゙ア゙す!! ゆっくりでいいんで!白桜さんの気が向いた時でいいんで!更新してくださると全私が喜び回ります!超大好きですこの作品。 (2020年3月4日 20時) (レス) id: a9c3f82e64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白桜 | 作成日時:2019年7月8日 0時