第77話《YG》 ページ27
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言葉よりも、何よりも。
先に動いたのは体。
一瞬で分かった。
…死のうとしてるって。
俺は全速力で駆け出した。
間に合え、間に合え……っ！
いつ飛び降りるのか分からない恐怖に襲われる。
飛ぶな、下に落ちるな。
やめろ、やめてくれ。
……俺の目の前で、死なないでくれ。
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風が吹く。
Aの黒髪が、風に揺れて柔らかく動く。
俺が後ろにいることさえ、気付いてない。
手を伸ばして、柵越しにいる彼女を抱きとめる。
…あの時よりも、痩せた感触。
でも、確かに暖かな体温が胸の中にあった。
「ユ、ンギさ……？」
YG「何やってんだ馬鹿が！！！！」
荒くなる呼吸。
思わず出てしまった、怒声。
「ど、して……」
Aは、ボロボロに泣いていた。
白い肌に、いくつもの涙の筋。
YG「……いいから。とりあえずこっちに来い」
そう言って強引に柵の向こう側から彼女を引き上げる。
持ち上げた体は、あまりにも軽かった。
YG「…何で死のうとした」
「…………」
YG「俺が来なかったら、お前はどうなってた」
「…………」
YG「そこまでお前を追い詰めてるものは何だ」
「………ぅ…っ」
短く声を漏らした後、Aは泣き崩れた。
地面に突っ伏して泣き続けるAの背中を、俺は
優しくさする。
…もし、屋上に来ていなかったら。
死のうとするAを見つけていなかったら。
今、俺がさすっている彼女はもういなかったかもしれない。
そう思うと、夏のくせに背筋が凍った。
Aは、泣き続けた。
俺はその側を、片時も離れなかった。
後からホソガが来て、何かを察したようにAを
静かに抱きしめた。
空は、相変わらず青いまま。
屋上には、Aの泣く声だけが響いていた。
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.
「ごめ、な…さ…」
しばらくして、ようやくAが顔を上げた。
目が真っ赤に充血している。
YG「……とりあえず、死ななくて良かった」
俺の言葉に、ホソガが目を見開く。
HS「…Aちゃん。
死のうと、してたの？」
ホソガが聞けば、Aは小さく頷いた。
途端、ホソガは顔を歪ませて更に強くAを
抱き締めた。
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森下 衣舞(プロフ) - あいさん» あいさん泣 いつも有難うございます！私も感動系、切ない系が好きなので喜んでもらえて何よりです泣 更新お待たせしてしまって、本当に申し訳ないです…。引き続き頑張ります！お体に気をつけて下さいね！！ (2020年5月14日 22時) (
レス) id: 45654b5508 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 第2弾ありがとうございます(T_T)涙が止まりません( ；∀；)感動物語凄く好きなんですよ。だから得しかなくて(T_T)続き楽しみにしております。お体に気を付けて更新頑張ってください！ (2020年5月10日 9時) (レス) id: 17b64cad63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：森下 | 作成日時：2020年5月7日 0時
