第64話 ページ14
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家に帰ると、リビングにはお母さんがいた。
思い詰めたような表情で、俯いている。
「…お母さん」
「……A」
前に叫んでいた時とは全く違う、悲しげな顔。
「お母さん、ちゃんと病院に行くから…」
そう言って、ぎこちない笑みを浮かべていた。
胸が、締め付けられるように痛くなった。
これで、良かったんだよね？
この決断は間違えていないよね？
また、分からなくなる。
「Aに言われた時、どうしても認めたくなくて。
自分が前と違うことは、分かってたの。
でも、どうしてもそうなってしまう。
しようと思って、してる訳じゃないのに。
Aには、もうお母さんしかいないのに。
そんな私が若年性アルツハイマーになってしまったら
どうすればいいのか分からなかった。
…ごめんなさい、A。
酷いこと沢山言って、怪我もさせて。
……お母さん失格ね」
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…やめて。
そんな風に笑わないで。
悲しげに、笑うなんて。
お父さんの事を思い出すから。
「…お母さんは、私のたった一人の大事な人だよ。
だからそんな悲しい事言わないで…」
お母さん本人が一番辛いはずなのに。
私の心も苦しくて悲しくて、辛くて。
涙が溢れた。
お母さんはそんな私を、壊れ物に触れるかのように
優しく抱きしめた。
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＿＿＿＿＿＿そして。
お母さんは若年性アルツハイマーと診断された。
お母さんの手を握り締めながら家まで帰った日を、私は忘れない。
「迷惑をかけないようにする」と、私を安心させようとしていたお母さん。
でも、繋いでいた手はずっと震えていた。
…守らなきゃ。
私がお母さんを、お父さんの代わりに守らなきゃ。
そう、心に誓った時。
お母さんは、帰り道の途中で私を抱き寄せた。
お母さんは、泣いていた。
「…ごめん。
ごめんね、A…。
これから先、お母さん頑張るけど。
正直どうなるかは分からない。
Aを傷つける事がまたあると思う。
たくさん迷惑をかけてしまう。
記憶が、なくなってしまうかもしれないけど…。
でも。
でも、これだけは忘れないで。
Aは、私のたった一人の愛しい娘。
お母さんはずっと、心からAを愛してるからね」
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森下 衣舞(プロフ) - あいさん» あいさん泣 いつも有難うございます！私も感動系、切ない系が好きなので喜んでもらえて何よりです泣 更新お待たせしてしまって、本当に申し訳ないです…。引き続き頑張ります！お体に気をつけて下さいね！！ (2020年5月14日 22時) (
レス) id: 45654b5508 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 第2弾ありがとうございます(T_T)涙が止まりません( ；∀；)感動物語凄く好きなんですよ。だから得しかなくて(T_T)続き楽しみにしております。お体に気を付けて更新頑張ってください！ (2020年5月10日 9時) (レス) id: 17b64cad63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：森下 | 作成日時：2020年5月7日 0時
