第62話 ページ12
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「お母さん、前と違う…。
味の濃いご飯を作らなかった。
同じこと何回も聞く人じゃなかった。
約束を守れないなんてなかった。
仕事に遅刻しなかった。
いきなり泣き出すこともなかった。
……ねぇ、どうしちゃったのお母さん。
今は、私の知らないお母さんがいるみたいなの。
私、怖いの。
私の知ってるお母さんが消えてしまいそうで。
考えていると、毎日寝付けないの。
…お願い。
私も一緒に行くから。
だから、病院に行こう？」
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泣きそうになりながら言っても、お母さんは冷たい目で私を見つめるだけ。
「…それが、どうして病院に行く理由に繋がるの？
何かの病気だと思ってるの？」
口を開いたと思えば、聞いたこともない低い声が
響く。
「…それは、その…」
「勝手に病気だなんて決めつけるなんて！！
そんな親不孝な娘に育てた覚えはないわ！！」
目を見開いて叫ぶお母さんに、言葉を失くす。
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…そんなの、私だって。
私だって決めつけた訳じゃない。
でも、当てはまってるんだよ。
お母さんのしてる行動が、言動が。
" 若年性アルツハイマー " に。
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「…やめてよ。
もう、やめようよ。
これ以上、お母さんを消さないで…」
「お母さんを消さないで？
何を言ってるの？
私を何だと思ってるの！？」
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……大好きな、世界一大切なお母さん。
だから。
だから、言わなきゃいけないの。
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もう、誰も失いたくないの。
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「お母さんはアルツハイマーだよ！！」
私が涙ながらに叫んだ。
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お母さんは目を見開いた後、スープの入ったお皿を
そのまま私に投げつけた。
まだ熱いスープが私の左腕にかかる。
「いっ…！」
「アルツハイマー？私が！？
まだそんな病気にかかる年齢じゃないわよ！！
親を病気呼ばわりする娘なんて、恥ずかしい！！
二度とそんな事言わないで！！！」
お母さんはそのまま、部屋を飛び出した。
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火傷をした腕の傷が痛む。
でも今はそれよりも。
心の方が、もっとずっと痛かった。
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森下 衣舞(プロフ) - あいさん» あいさん泣 いつも有難うございます！私も感動系、切ない系が好きなので喜んでもらえて何よりです泣 更新お待たせしてしまって、本当に申し訳ないです…。引き続き頑張ります！お体に気をつけて下さいね！！ (2020年5月14日 22時) (
レス) id: 45654b5508 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 第2弾ありがとうございます(T_T)涙が止まりません( ；∀；)感動物語凄く好きなんですよ。だから得しかなくて(T_T)続き楽しみにしております。お体に気を付けて更新頑張ってください！ (2020年5月10日 9時) (レス) id: 17b64cad63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：森下 | 作成日時：2020年5月7日 0時
