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第35話 馨しき香り ページ44

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……さて、今私達はどこに居るでしょうか。


正解は仕事場だ

仕事場___清潔な机の上で、コーヒー片手に書類整理をするのではないのはもう判って居るだろうが。



「ねえ、まだ終わらないの?」

「あと一寸だ」

『虚しくなってくるから喋らないでよ』




詳しく云うと、此処はヨコハマ租界の廃棄物投棄場

此の廃棄物投棄場には、汚泥と工業廃棄油が殆ど違法同然に投棄されて居る。


つまり何が言いたいかって?



_____最悪。





私たちの服は、これでもかと言うほど泥と油に塗れ、それはそれは。もう野良猫が1粁先から逃げ出すような馨しい代物となっていた。




「今すぐ鼻を切り落としたくなる臭いだよ」


「ナイフなら此処に__」
『おいやめろ』



こんな場所で仕事をして居るお陰で、私と太宰。そして織田作は泥だらけ、油だらけだ。



『……さて』

ピチャ、という不快な音と共に私は立ち上がった。



「如何したの? 真逆(トイレ)……あだっ!」
『判ってんなら言うな!』


私は手短にあった石ころを太宰の胴体目掛けて投げると、どすどすと近場の厠へ行った。

まあ厠といっても簡易的な其れだが。





ーーー


「ねえ、織田作」


極めて真剣そうな顔の太宰に
素直に驚いた。

其れから俺は何泊か置いて答えた


「…どうした?」

「織田作はさ。
同じ異能を持った人間が居たら如何する?」



先程と打って変わって、捨てられた子犬と見間違うような顔をして聞いてくる太宰。

今日は珍しいな、表情がコロコロ変わる



「如何したんだ急に。別に変わらないと思うぞ?」


俺が答えると、
太宰は目を丸くし


…笑い出した。



「う、ふふ。そうか、そうだよね」

「なんだ?」



少し気になったので聞いてみると、

「否……矢張り織田作は織田作だと思ってね」

と、良く分からない回答をされた。



それにしても、
太宰が笑って居るのは久しぶりに見たな。


釣られて少し微笑むと、
「あっ、織田作が笑った」などと興味津々な目で見つめられた為



Aが帰ってくるまで放置しておくことにした。

第36話 彼奴への謎→←第34話 織田作之助と云う男



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怪盗MOON - (二回目コメ)え!?龍頭抗争時の描写の仕方どんだけ上手いんですか!?星つけときます!あああ!旧双黒が最高すぎるぜ!(済みません。) (2019年11月18日 23時) (レス) id: 0995fcb332 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗MOON - 24話より。怪「5000億円は澁澤さんの遺産さ〜♪」(あれ『太宰治の入社試験』の時の太宰さん口調!?) (2019年11月18日 23時) (レス) id: 0995fcb332 (このIDを非表示/違反報告)
海豚 - 七海さん» コメント二つも!?有難うございます。コンタクトお揃いですね。嬉しいです…笑 1ヶ月間という長い間待ってくださって、本当にありがとうございました!!! (2018年6月22日 18時) (レス) id: a5f8312cdf (このIDを非表示/違反報告)
海豚 - 雪さん» 雪さん!!!返信物凄く遅れてしまい、申し訳ありませんでした!!本当に1ヶ月待って貰えるとは思えず、感激です。お気遣いありがとうございます。身に染みます……w (2018年6月22日 18時) (レス) id: a5f8312cdf (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - 面白かったです!!続き待ってますね(*^▽^*) (2018年6月11日 21時) (レス) id: 497f6be280 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海豚 | 作成日時:2018年5月4日 16時

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