第31話 癖 ページ39
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「遅いねえ……」
手を組み替え乍、珍しく不安そうな声を出す森。
近くで積み木を重ね遊んでいたエリスは、「心配しなくても大丈夫よ!」と言った。
「だってAは強いもの!」
「まあ、其れについては心配していないのだよ?」
「じゃあ何?」赤い立方体とも取れる綺麗な木目の積み木を手に取り乍、森に問いかけるエリス。
その目線は、積み重ねた積み木に向けられている。
森は、数秒間考える様な動作を取った後、
にこりと笑った。
「秘密だよ」
「つまんないの」
人差し指を口に当て、戯けた様な声を出す森。
だがここで忘れてはいけない
この可愛らしい動作をしているのが、中年の男性だと言うことを。
まあ其れで様になるのは、どう言えば良いのやら。
「おや、帰って来たみたいだ」
首領が扉の方を指差すと、
ゆっくりとドアが開かれた。
『首領、只今帰還いたしました。永井と__』
「太宰です。首領、少し話が」
一転、いつになく真剣な顔の太宰。
Aの言葉を遮り、其の儘太宰はつかつかと首領の前まで歩み寄った。
「”未来予知”」
ーーー
「へえ……」
首領は意味深な独り言を呟くと、手を組み替えた。
「太宰君、Aちゃん。君達二人には戦闘で死んだポートマフィア構成員の死体を片付ける役に回って欲しい」
Aは其れを黙って聞いていた。
「___首領の思惑が解らない。
如何して私を?
太宰は首領になんて言ったんだ」
私の頭の中には其ればかりが渦巻いていた。
生憎、私の頭は太宰の様に優秀ではない。
二人の意図が全く解らない
その時、中也が口を開いた。
「首領。何故此奴を戦場から遠ざけるのですか?
此奴は___」
「分かっているよ、中也君」
「その為だ」
『太宰……?』
太宰はふらりと半回転すると、扉に向かい歩き出した。私に「行くよ」と言って。
何なんだ、一体全体
「取り敢えず行っておいでよ、Aちゃん」
行成聞こえた首領の声に急いで振り返る。
___その顔は笑顔だった
否、
未だ疑問は山ほどあるが、この顔に成った首領に失敗は無い。
私の経験上、それだけは必ず言えたことだ
『……了解しました。失礼します』
森は去って行くAの背中を見つめた。
「(一君……君の愛娘は矢張り強い)」
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怪盗MOON - (二回目コメ)え!?龍頭抗争時の描写の仕方どんだけ上手いんですか!?星つけときます!あああ!旧双黒が最高すぎるぜ!(済みません。) (2019年11月18日 23時) (レス) id: 0995fcb332 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗MOON - 24話より。怪「5000億円は澁澤さんの遺産さ〜♪」(あれ『太宰治の入社試験』の時の太宰さん口調!?) (2019年11月18日 23時) (レス) id: 0995fcb332 (このIDを非表示/違反報告)
海豚 - 七海さん» コメント二つも!?有難うございます。コンタクトお揃いですね。嬉しいです…笑 1ヶ月間という長い間待ってくださって、本当にありがとうございました!!! (2018年6月22日 18時) (レス) id: a5f8312cdf (このIDを非表示/違反報告)
海豚 - 雪さん» 雪さん!!!返信物凄く遅れてしまい、申し訳ありませんでした!!本当に1ヶ月待って貰えるとは思えず、感激です。お気遣いありがとうございます。身に染みます……w (2018年6月22日 18時) (レス) id: a5f8312cdf (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - 面白かったです!!続き待ってますね(*^▽^*) (2018年6月11日 21時) (レス) id: 497f6be280 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海豚 | 作成日時:2018年5月4日 16時