第27話 知ってる。 ページ35
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『何時迄……続くんだろうね』
無意識に、ぽそりと出た言葉。
首領の言ったことは、直ぐ現実となった。
この関東全域を巻き込んだ抗争は、ヨコハマで拡大化し、現在にまで至る。
夜通し銃声が鳴り響き、この抗争が始まってから満足に睡眠をとった日など、一日もなかった。
外に一歩踏み出せば、其処は血の海。
右も左も、死体ばかりだ
掃除屋が追いつかないほどの殺し、殺し、殺し。
『こんな抗争、もう、うんざりなんだ。』
何度、そう思ったことかは__
もう、数え切れなかった。
「さあな!」
この場に合わない、陽気とも取れる声がした。
__中也だ
「……何時迄この抗争が続くかなんて、俺たちにゃ分からねえ。もしかして明日終わるかもしれねえし、10年続くかも分からねえ」
ヘルメットを被りなおしながら、なんとも言えぬ表情で語る中也。
だが、何故かその言葉には説得力があった。
「だから、戦うんだ」
その目には、強い意志が宿っていた。
青く光る瞳は、この血濡れた戦場には似合わないのかもしれない。
其の者の決意だ。
同じ、ヨコハマを愛する者の____
『私だって分かってる』
だからあの時、私は紅葉の姐さんを説得したんだ。
「避けては通れぬ道」
と言って。
『私だってこのヨコハマを愛してる。だからもう弱音は吐かない。今決めた。
全力で戦って、この竜頭抗争を終わらせてみせる』
「……はいはい。もう分かってると思うけど___」
くいっと太宰が親指を指す。
「敵さんのお出ましだよ」
その先には、一人の異能者が見えた。
ブラックホールとも取れる暗黒空間を後ろに纏、
銃を持った男だ。
『私がやるよ。中也、後ろお願い』
「……良いのか」
『勿論!』
と、ニコリと笑った。
「まあまあ中也。Aの言う通り、私達は後ろをやろう。…残党だからって油断しちゃあいけないよ」
”やられる”
ニヤリと微笑む太宰。
嗚呼此奴___何か企んでやがるな。
そう感じ取った中也は、素直にAに背を向け、
「死ぬなよ」とだけ言った。
『分かってる!!』
ビッと空気を裂く音がなると同時に、
Aは走り出した。
左脚に差した、”拳銃”をずらしながら
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怪盗MOON - (二回目コメ)え!?龍頭抗争時の描写の仕方どんだけ上手いんですか!?星つけときます!あああ!旧双黒が最高すぎるぜ!(済みません。) (2019年11月18日 23時) (レス) id: 0995fcb332 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗MOON - 24話より。怪「5000億円は澁澤さんの遺産さ〜♪」(あれ『太宰治の入社試験』の時の太宰さん口調!?) (2019年11月18日 23時) (レス) id: 0995fcb332 (このIDを非表示/違反報告)
海豚 - 七海さん» コメント二つも!?有難うございます。コンタクトお揃いですね。嬉しいです…笑 1ヶ月間という長い間待ってくださって、本当にありがとうございました!!! (2018年6月22日 18時) (レス) id: a5f8312cdf (このIDを非表示/違反報告)
海豚 - 雪さん» 雪さん!!!返信物凄く遅れてしまい、申し訳ありませんでした!!本当に1ヶ月待って貰えるとは思えず、感激です。お気遣いありがとうございます。身に染みます……w (2018年6月22日 18時) (レス) id: a5f8312cdf (このIDを非表示/違反報告)
七海(プロフ) - 面白かったです!!続き待ってますね(*^▽^*) (2018年6月11日 21時) (レス) id: 497f6be280 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海豚 | 作成日時:2018年5月4日 16時