入学-23 ページ29
縁側に腰を下ろし、サンドイッチを頬張るAと達也と八雲。
深雪は一切れ口にしただけで、お茶を差し出したり皿に取り分けたりと忙しなく動いている。
｢深雪ちゃん、貴女も座って良いのよ。交代するわ。｣
Aはそう提案して立ち上がろうとするも、深雪は微笑んで｢いいえ。｣と首を横に振るう。
｢私が好きでしているだけですので。お義姉様はお兄様と休んでください。｣
｢.......私は何もしていないのだけれど、｣
｢･･･諦めろ。こうなった深雪は俺でも止められない。｣
｢･･･そうね｣と達也の言葉通り短いため息を吐き、Aは再度縁側に腰を下ろす。
そんな三人を見て、八雲は何やらしみじみとした口調で呟いた。
｢もう体術だけなら達也くんには叶わないかもしれないねぇ。｣
ポツリと言った言葉は、賞賛だった。
他の門人達がこの場にいれば、羨望の眼差しは避けられなかっただろう。
現に、八雲の隣に控えた弟子はその賞賛の言葉に嫉妬と羨望よ入り交じった視線を達也に向けている。
しかし、そんな視線を気にせずにAは紅茶を飲みながら我が事のように満足気に頷いた。
それは深雪も同じで、瞳を輝かせている。
ただ一人、達也の心にはその賞賛はあまり響かなかったが。
｢体術で互角なのにあれだけ一方的にボコボコにされるのはあまり喜べることではありませんが･･･｣
達也の愚痴とも言える
｢それは当然というものだよ、達也くん。僕は君の師匠で、さっきは僕の得意な土俵で組手をしていたんだから。君はまだ十五歳。半人前の君に後れをとるようでは、弟子に逃げられてしまいそうだ。｣
｢お兄様はもう少し素直になられた方が良いと存じます。先生が珍しく褒めてくださったのですから、胸を張って高笑いをしていらしたら良いのだと思います。｣
｢二人の言う通りよ、達也。貴方のその強さは誇っても良い位だわ。魔法なんて無くても、自分はここまで強いんだってね。｣
深雪とAもまた、澄ました口調の傍らで趣きは違えど口元に笑みを浮かべた。
特にAは、ふふん、としたり顔だ。
｢.......それはそれでちょっと嫌なやつに見えると思うが。｣
八雲も、深雪も、Aも笑顔で冗談めかしてはいるが、自分をたしなめ、励ましてくれているのだろうということがわからない程、達也も頑なではない。
達也の浮かべた苦笑いは、苦々しさのないただの苦笑へ変わっていた。
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asukamte9(プロフ) - クマさんさん» ありがとうございます！アニメもまた再開しますし、亀更新ではありますが更新していこうと思います〜！ (2020年7月7日 23時) (
レス) id: 7e8a231f5c (このIDを非表示/違反報告)
クマさん - 魔法科高校の劣等生久しぶりに見ました！面白いですよね！続きが楽しみです！更新頑張ってください！ (2020年7月7日 23時) (レス) id: 431c65eee8 (このIDを非表示/違反報告)
asukamte9(プロフ) - もっぴさん» ありがとうございます〜！ (2020年4月23日 4時) (レス) id: 7e8a231f5c (このIDを非表示/違反報告)
もっぴ(プロフ) - 続き楽しみにしてます！！！！ (2020年4月23日 2時) (レス) id: bfcff30253 (このIDを非表示/違反報告)
asukamte9(プロフ) - 直美さん» 誤字報告ありがとうございます!修正しておきますねー！(￣^￣ゞ (2018年8月30日 21時) (レス) id: 14056de88c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねむ | 作成日時：2017年10月1日 3時
