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その視線を感じたのか摩利は小さくため息を吐いた後、諦めたように手を止めた。

「すまん、こう言うのは苦手だ。」

潔く苦手分野を明かした摩利を見ながら、この部屋の現状は彼女に最大の責任があるのでは無いかと察する。
が、察するだけで口にはせずAは変わりの言葉を口にした。

「別に気にはしていませんよ。
誰にだって苦手なものくらいありますから。」

Aのフォローの言葉が予想外だったらしく、摩利は小さく驚きの表情を浮かべていた摩利の様子に勘付いたAは少しだけ気落ちした様子を見せる。

「…私が気遣うの、そんなにおかしいですか?」

少しだけ、意地悪な気持ちを込めてそう言えば。
摩利は慌てた様子で「あぁ、いや、すまない」と再度謝罪の言葉を口にした。
そんな摩利にAは小さく笑うと、「気にしてません」とだけ返す。

「私と達也は表情(気持ち)がわかりづらいって良く言われるので。」

ねぇ達也、とこれまで話題に入ってこなかった達也に目を向ければ、達也は「何故俺に話題を振る?」と呆れた様子を見せた。
その表情の変化は些細なもので、Aの言葉が正しいものだと摩利は理解する。
しかし、Aにとってはその変化はわかりやすいもので、内心(前言撤回ね)とだけ呟いた。

そんな2人の仲の良さに目を細めるのと同時に、摩利が机の上を見やり「それにしてもよく分かるな」とどこか感嘆めいた声音で発した。

突然変えられた話題に「何がですか」と首を傾げるのはAだった。

「書類の仕分けだよ。適当に積んでいるだけだと思ったらちゃんと仕分けられているじゃないか」

感心したように言ってのける摩利は、開き直ったらしく達也たちが空けた机の上にもたれ掛かるように腰掛けて資料の束をパラパラと眺めていた。
この人は本当に自由人だな、と呆れ半分でAは隠すことなくため息を吐いた。

「委員長、はしたないですよ。」

言うまでもなく摩利の制服は女子生徒用である。
したがって、下はスカートでありそのスカートが達也の腕に触れそうな密着具合になってしまっている。
もちろん、そんな状態をAが許すはずもなく注意すれば、「あぁ、悪い、」という、大して悪びれた様子もなさげな態度が返って来た。

これ以上の指摘は無駄だなと感じながら、無言で椅子を動かした達也を見ながらAも次のエリアに取り掛かった。

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- 早く続きが見たい (12月18日 20時) (レス) @page35 id: d8cab8ae04 (このIDを非表示/違反報告)
華奈(プロフ) - 更新楽しみに待ってます♪ (2021年11月25日 23時) (レス) @page22 id: 45dc289628 (このIDを非表示/違反報告)
asukamte9(プロフ) - 乃さん» ありがとうございます。執筆頑張ってるので、もうしばらくお待ちください! (2021年1月24日 22時) (レス) id: 7e8a231f5c (このIDを非表示/違反報告)
- 進み具合はどうですか?とても楽しみにしています! (2021年1月24日 22時) (レス) id: 9c037e67a7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねむ | 作成日時:2020年10月5日 20時

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