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正直ここまで徹底として二科生(ウィード)である事を嫌悪しているのをみると、逆に尊敬してしまう。
決して認めないという服部と、いつ深雪が爆発するか分からずにハラハラしてそれどころでは無い達也を交互に見比べてAはどうしたものかと思考を巡らせる。

今この場でいえば、誰よりも強いのは達也だ。
しかし、それを言ってしまえば達也の立場も危ぶまれる。
それを配慮すれば反論できないのが、苦しい所だ。

本当はAとて反論したいのだ。
しかし上記に示した通りの事情から、反論したいのを我慢しているだけにすぎない。
服部自身が早く認めてしまえば良いのに、と思うばかりである。

しかし、そんなAの想いとは裏腹に服部は否定の言葉を紡ぐばかりだ。

「過去、二科生(ウィード)を風紀委員に任命した例はありません。」

服部の反論に含まれた蔑称に、摩利は小さく眉を釣り上げた。

「それは禁止用語だぞ、服部副会長。風紀委員による摘発対象だ。委員長である私の前で使うとは、いい度胸だな。」

摩利の叱責とも警告とも、その両方とも言えるセリフに、服部は怯んだ様子を見せることは無い。

「取り繕っても仕方ないでしょう。それとも、全校生徒の三分の一を摘発なさるつもりですか?
一科生(ブルーム)二科生(ウィード)の間の区別は学校が認めたものです。
そして、一科生(ブルーム)二科生()は区別を根拠付けるだけの実力差があります。」

「風紀委員は、ルールに従わない生徒を実力で取り締まる役職だ。実力に劣る二科生(ウィード)には務まらない。」

服部のその怠慢とも言える言葉に、摩利は冷ややかな笑みで応えた。

「確かにその通りだが、実力にも色々ある。それに、力づくで取り押さえるなら私がいる。
──・・・君の理屈に従うなら、実戦能力に劣る秀才は必要ない。
それとも、私と戦ってみるかい?服部副会長?」

摩利の言葉は、自信と実績に裏打ちされていた。
しかし、服部は摩利の気迫にたじろぎながらも白旗をあげる気は無いらしい。

「私の事を問題にしているのではありません。彼の適性の問題だ。」

頑なに譲らない服部に、Aの苛立ちは既に頂点に達しそうになっている。
理不尽だとは思うが、何も知らない癖に、という言葉がAの頭をよぎった。

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- 早く続きが見たい (12月18日 20時) (レス) @page35 id: d8cab8ae04 (このIDを非表示/違反報告)
華奈(プロフ) - 更新楽しみに待ってます♪ (2021年11月25日 23時) (レス) @page22 id: 45dc289628 (このIDを非表示/違反報告)
asukamte9(プロフ) - 乃さん» ありがとうございます。執筆頑張ってるので、もうしばらくお待ちください! (2021年1月24日 22時) (レス) id: 7e8a231f5c (このIDを非表示/違反報告)
- 進み具合はどうですか?とても楽しみにしています! (2021年1月24日 22時) (レス) id: 9c037e67a7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねむ | 作成日時:2020年10月5日 20時

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