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『はぁ…っ、それでも!過去には戻れない。時は戻らないんですよ!…あ!見つけた…!!』
そう叫ぶと電話が切れた。
「宮?おい、」
「おっちゃん、おばちゃん。ちゃんと話して、加々見はどこ行ったの」
伊吹と志摩が田辺夫妻を説得し話を聞いている中、宮は加々見の後を追い加々見の実家へとついた。
『…加々見さん、もう逃げても意味ないですよ…』
ゆっくりと中を警戒しながら歩いていると。加々見の声が聞こえそれを追った。
電話で話しており、彼がいなくなった部屋から父親の写真を持てば加々見のいる部屋へと足を進めた。
その時には伊吹と志摩も合流して、確保しようとした
「親父さん、事故で死んだって…だからもうここには誰も住んでない」
『…親父さんへの当て付けで殺したんですか、電話聞いている限りだと同じように扱われたから殺した…そう聞こえました。』
宮がそう言うと写真を床へ置いて加々見を見た
すると加々見はその写真にホームセンターで盗んだ包丁を泣きながら何回も何回も突き刺した。
「加々見さん、あなたは人を殺した。理由はどうであれ、命は取り返しがつかないんだよ」
「お前、ばかだなぁ…殺しちゃだめなんだよ!相手がどんなクズだろうとどんなにムカついても、殺した方が負けだ…」
「無実でいて欲しかったな…」
宮は、そんな2人、否3人を眺めていた。
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その後、所轄へ加々見を引き受けてもらうために表に出てくと、田辺夫妻もついてきて加々見にいろいろと語りかけていた。夫妻は必死に謝り、加々見は一度富士山を眺めると振り返り2人に向かって一礼をして車両へ乗り込んだ。
「あー…腹へった。山梨と言ったら…」
そんなこんなで、3人でご飯を食べに行こうとすると
『…俺、先に戻る。2人で食べてこい』
「は?だーめ、宮ちゃんも行くの!今日何も食べてないでしょ!」
「諦めろ、宮」
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色々と志摩が伊吹に謝ったり、伊吹が乾麺のことを乾いたやつとか言ったりとたくさんなことがあったが、志摩が伊吹に謝ったことを撤回するなどと言った後に時は戻らないよと言うと宮と志摩は考えた
「そうだな、時は戻らない。人の命は帰らない。どんなに願っても」
「お前は長生きしろよ」
『…どれだけ時が戻って欲しかろうと、絶対に戻ることはない。永遠にな』
そんなことを言う2人を伊吹は黙って見ていた。
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作者名:いのち | 作成日時:2020年8月31日 13時