俺の妹は心配、性......？ (ページ11)

今日:41 hit、昨日:9 hit、合計:24,232 hit

61話ページ11

司side

楓士雄と1戦交えた後、俺の周りに色がついた気がした
あいつが居なくなってからは世界がモノクロに見えて、全てが同じように見えた
自分の心情が違うだけでこうも見えるものが違うのかと自嘲気味に笑う

そして1番変わったのは

｢お兄ちゃん、コンビニでアイス買ってよ｣

辻｢昨日も買ってやっただろ
大体俺が金欠だって知ってる癖に強請ってくんじゃねぇよ
バイトしてるんだから自分で買え｣

｢けーち
ねぇ芝兄、私チョコミント味食べたいな？｣

芝｢兄貴がダメなら俺って考えもやめろ笑
この前飯作ってくれたから特別な？｣

｢やったー！｣

Aが視界に入ったり声が聞こえるとつい目で追ってしまうようになった
あいつとちゃんと話したのなんて2年ぐらい前の事なのに

司｢あ〜....
マジ、なんだよなぁ｣

この行動の理由が分からないほど疎くはない
けれど自分にとって暫くは無縁に近いと思っていた
楓士雄がいた時は毎日のように喧嘩して、馬鹿やって
喧嘩をしてからはジャム男達と同じようなことをして
毎日が充実していた

それでもまだ何かを欲している

人間は欲に忠実で、現状に満足してもすぐに新たな欲が生まれる愚かな生き物だとどこかで聞いた気がする
本当にその通りだ

それに自分の気持ちに気づいたからといってどうこうすることもない

あいつの兄貴は轟一派で俺らと対立している
なによりも鬼邪高の人間と関わってるなんて知られたらあいつを巻き込む可能性だってある

鳳仙との喧嘩を終えた後のAの涙を見て自分の気持ちに蓋をすることを決意した

俺らなんかといたらまた涙を流すことがあるかもしれない
これ以上巻き込むわけにはいかねぇ

幸いあいつのバイト先はSWORDで1番平和だと言われている山王地区で、そこの縄張りを守っている人達にも可愛がってもらっている
帰りには辻や芝も迎えに来ているらしい

だったら俺はあいつが笑って過ごせるように願うだけだ

それが俺にとっても一番の願いなのだから